5月15日、情報コースの電子画像研究室(内田研究室)と建築史研究室(海老澤研究室)の合同で、千葉県長生郡長南町の国指定重要文化財・笠森寺観音堂のデジタルスキャンを実施しました。

笠森寺観音堂(笠森観音)(千葉県長生郡長南町笠森, 1597年)
笠森寺観音堂は、日本の伝統的な寺社建築にみられる懸造(かけづくり)の代表的な事例です。懸造とは、斜面や岩の上に束柱で支えられるように建造物が築かれる構造形式で、寺院建築の歴史を遡ると平安時代から現れます。代表例に清水の舞台で有名な京都の清水寺(江戸時代に再建)があります。その成り立ちは山中での修行や信仰と結びついていました。自然景観との結びつきが強いのも懸造の特徴です。

笠森寺観音堂 南側崖下から
通常は清水寺のように本堂の前面を懸造にする例が多いのですが、笠森寺観音堂は四面すべてが懸造となる「四方懸造」という特徴的な形式を誇る例です。

束柱と貫で支えられる笠森寺観音堂の懸造の構造
束柱と貫で建造物を支える懸造の架構は、3Dスキャンの対象として極めて興味深いものでした。思い切ってご住職に問い合わせたところ、調査をご快諾いただきました。実は笠森観音に注目したのは、以前学生から提出された日本建築史のレポートでこの建築が取り上げられていたためです。私自身もいつかは見たいと思っていた建築です。それが調査という形で実現したのを嬉しく思います。

調査の準備をする内田先生と両研究室の学生たち
当日は東京湾を高速道路で渡り、千葉へと向かいました。天気は快晴。内田研と海老澤研の学生が2名ずつ参加し、ハンディLiDARによる3DスキャンとMatterportのウォークスルーの撮影を行いました。ご住職の協力を得て、長時間かけての調査の実施が可能となりました。誠にありがとうございました。この成果を今後のアウトプットにつなげていきたいと思います。

階段を登りながらハンディLiDARでスキャンを実施

観音堂まわりの回廊をスキャンする湯澤君と中村君(建築史研究室)

スキャンをもとに建造物の3Dデータができあがった

ウォークスルーのための撮影をする学生たち

階段も入念に撮影する内田先生とそれを見守る熊坂さんと村田さん(内田研究室)

360°カメラの撮影をもとにウォークスルーの立体的なデジタルデータが作成された
回廊からの眺めはまさに絶景で、日常を忘れてしまうような特別な時間を味わうことができました。同時にこの場所と建造物が守り続けられることの重要さも実感しました。デジタルスキャンがそれに貢献することを願っています。

西側の回廊からの眺めは素晴らしい

調査終了後の記念写真。皆さん、お疲れ様でした
険しい階段を昇り降りしたため、翌日は久しぶりの筋肉痛となりました。心地よい疲労感でした。

















