配当:大学院
時限:木曜4限
場所:建築設計計画Ⅱ(田村裕希)研究室
建築設計特論Ⅰではアーカイブの実践として、デュランの『比較建築図集』を参考に、新しい図集のための「比較方法と並べ方」の提案を行いました。授業は、資料の「採集」→「整理」→「編集」→「比較」とワークショップ形式で進めました。
デュラン「比較建築図集」
図面の収録数と網羅性から『世界美術大全集』(小学館)『世界の建築』(学研)「世界建築全集」(平凡社)「世界の建築」(美術出版社)の4図集を選定。そこから図面部分のみを取り出し図集の統合を試みる。
「統合図集」の編集打ち合わせ。図面は建物ごとにスケールを統一して再編集した。時代を代表させる建物の選定や建物を表現する図種やスケールの選択に図集ごとの特徴が見えてきた。「統合図集」と対応した掲載作品リストをエクセルで作成し、さまざまなソート(並べかえ)を試みる。
最終講評にはゲストクリティークとして西洋建築史の海老澤模奈人先生と都市計画・デザインシュミレーションの鍛佳代子先生をお迎えした。作業プロセスの報告に続き、各自の「新しい図集とその図集の編集根拠となる仮説」を提案し、代表的なサンプルページを作成した。
新しい図集のための「比較方法と並べ方」の提案。
時久賢矢による「宮殿と住宅 庭とその周辺の構成」。方位とスケールが統一されている。
Baasansuren Magsarjavによる「神殿の柱とスパン数の比較」。列柱建築の平面図が時代や図集ごとに簡略化されている可能性が指摘される。
Ziye Guoによる「構成要素のカタログ」。丘の上のアクロポリスの構成要素と配置の比較を試みる。
Yao Luによる「建築平面図のテトリス」。図面を徹底的にグラフィカルに取り扱うデモンストレーション。
Niu Mengyueによる「スカイラインの分岐」。構造や規模で比較することの可能性に議論が及ぶ。
堤健太郎からは「塔状比」を比較するためのツインリングの機構が提案される。
プレゼンテーション後はアーカイブの構築とその利用方法、保存方法についてディスカッションを行った。
アーカイブは継続して‘育てていく’ものであり、また次の人に‘引き継がれていく’ものである。最後は‘熱量の引き継ぎ’の重要性などにも議論が及んだ。
30冊に及ぶ図集を図書館に返却して全工程を終了した。