建築コース

【建築視察】DAY.4_津田永忠を訪ねて

建築設計計画Ⅱ研究室・ゼミ旅行レポート④

ル・パン・ドゥ・タカ で朝食(おすすめ)

吉備津神社 本殿・拝殿(国宝)
本殿と拝殿の軽やかな接合

吉備津神社 廻廊(県指定重要文化財)

架構を単純化することで建築を脱力させ、地形をフォローする全体を獲得している。1579年に再建され、全長は360mにも及ぶ。廻廊は本殿南側の飯山を囲い1キロ先の新宮社まで続いていたという資料(詳細は分からないがとても惹かれるハナシ)もあり、現地でその構想力に思いをはせる。

特別史跡 旧閑谷学校(津田永忠)
今回の旅の目的は津田永忠の作品を訪ねること。パネルを用いた丁寧な解説をしていただきありがたい。これまで見てきたものと、これから見るものが繋がり始める。泮池(はんち):幅7M×長さ80Mの人造池に架かる石橋は国の重要文化財に指定されている。渡ることで学びの場に入ったことを空間的に明示する。

校門(重要文化財):閑谷学校の校門。開口の正面には奥の聖廟を望む軸がある。屋根は備前焼の本瓦葺きで、防水と排水を考慮した独特の5層断面ディテール。野地板が、私たちの知っている野地板の厚さではない。

椿山(つばきやま):閑谷学校の創始者である岡山藩主池田光政の供養塚「御納所(ごなっしょ)」へのアプローチ空間。400本近いヤブツバキが裁ち株で植えられている。今回の訪問の中で最も艶のある空間で一見の価値あり。意表を突いた神々しい空間との出会いに一同息をのむ。

講堂(国宝・重要文化財):創建当時は茅葺きだった入母屋造りの大屋根は、その後現在の堅牢な備前焼瓦に葺き替えられたとのこと。目の前の広場はかつてテニスコートだった(!?)時期もあるとのこと。津田の造成地はそれくらいフラットで排水性に優れていたのだろう。実際、石塀とテニスコートの相性も悪くなさそうだ。

広場に面して陰影の塊のような講堂・ランドスケープのなかを走りぬける石塀

拭き漆の床は生徒たちによってよく磨かれており、火灯窓から入る光をやわらかく反射させる。周囲の樹木が紅葉するとその色は室内に反射するそうだ。生徒の視点になって想像してみる。

習芸斎(しゅうげいさい・重要文化財)に併設された飲室(いんしつ・重要文化財):教師と生徒たちが湯茶を喫した休憩室。ひとつの石から掘り出された中央の炉には「斯爐中炭火之外不許薪火」と彫り込まれており、火の使用に厳重な注意がはらわれていた。ここでは農民も聴講参加することができたそうだ。

©大塚昴

DAY.2でアトリエを訪ねたイサムノグチは、この石塀を参考にアトリエの庭をデザインした。また身分や職業に関係なく等しく教育を施す閑谷学校の思想は、DAY.3で訪れた西江家住宅に通じるものを感じた。

豆腐専門店 食事処おかべ

S-House Museum(設計:妹島和世)
津田永忠の干拓事業によって整備された岡山市南区に位置する。田んぼと住宅地、作業所などがパッチワークのように連続するエリアに建っており、素材の選定理由や建物のプロポーションの意味が見えてくる。外観の印象よりも内部は広く感じる。館長の花房さんにレクチャーしていただく。所属アーティストである周防貴之さんデザインのローテーブルはゼミのサイズに丁度いい。
ダイニングテーブルのようなキッチンカウンターを中心に場がうまれる。コンロや冷蔵庫は背後のキャビネットに収納されており、使用のモードを変えることができる。

©舟窪麻友美

©天間桃誉

館長の花房さんには「津田永忠を訪ねる」旅の企画に共感していただき、S-Houseから車で10分程度のところに津田永忠像があることを教えていただく。偶然に驚きながら立ち寄る。

岡山大学 Junko Fukutake Hall(設計:SANAA

J Terrace Cafe(設計:SANAA)

岡山大学 パーゴラ(設計:SANAA)

研究室の光がスポットライトのようにパビリオンを照らす。大学のキャンパス内に建つ建築に日暮れ頃にふらっと立ち寄ることが出来る。街に囲われ、開かれたキャンパスの魅力を実感。4日目も無事終了し、レンタカーはここで返却。

【掲載】裏庭の家

【建築視察】DAY.5_流店

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