ロシア語を習っているヒトでなくとも、ネフスキーといえば、ああ、あの曲かと思い当たるに違いない。プロコフィエフ作曲のカンタータ《アレクサンドル・ネフスキー》である。タイトルとなっているネフスキーは実在したロシア中世の将軍で、ロシアでは救国の英雄としてとても人気のある歴史上の人物である。この曲は、はじめ、同名の映画の映画音楽だった。この映画を監督したのが、そう、《戦艦ポチョムキン》で有名なセルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督であり、音楽の担当を依頼されたのが作曲家プロコフィエフであった。
映画が封切りされたのは1938年12月1日であった。作曲を担当したプロコフィエフはこの映画音楽を、カンタータにまとめ、それは翌年1939年5月17日に初演された。プロコフィエスが作曲した映画音楽といえば、他に《イワンラ雷帝》、《キージェ中尉》がある。