化学・材料コースおよび生命環境化学科では、学生の資格取得を本気で支援しております。前回、甲種危険物取扱者の受験準備講習会をご案内しましたが、今回は、有機溶剤作業主任者の技能講習会のお知らせです。
有機溶剤作業主任者の資格を取得するためには、2日間の講習を受け、講習終了後に行われる修了試験に合格する必要があります。講習会は、神奈川県内では横浜や川崎で定期的に実施されているようですが、夏休み期間中に東京工芸大学厚木キャンパスでも実施されます。厚木キャンパスでの講習会は隔年で開催しているのですが、毎回、多くの学生が受験し、資格を取得しております。
有機溶剤作業主任者とは、有機溶剤を取扱う業務を行う場合に必要になる国家資格です。有機溶剤を取扱う事業者では、有資格者の中から作業主任者を選任し、その作業主任者は、有機溶剤取扱い作業を行う労働者の指揮・監督を行わなければならないと、法律で定められています。
では、有機溶剤とは何なのでしょうか? 厚生労働省が発行している「有機溶剤中毒を予防しましょう」というリーフレットには次のように書いてありました。
有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称であり、様々な職場で、溶剤として塗装、洗浄、印刷等の作業に幅広く使用されています。有機溶剤は常温では液体ですが、一般に揮発性が高いため、蒸気となって作業者の呼吸を通じて体内に吸収されやすく、また、油脂に溶ける性質があることから皮膚からも吸収されます。
具体的な物質名としては、アセトン、トルエン、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、酢酸ブチルなど、化学実験室でおなじみの薬品から、ガソリンや石油ベンジンなどが含まれます。有機溶剤は化学実験だけではなく、工学部の研究室であればいろいろなところで使用します。例えば、電子部品の導電性接着剤として使われる銀ペースト(銀粉と樹脂を混ぜてペースト状にしたもの)はトルエンや酢酸ブチルなどで溶かして使います。また、日常生活でも、アセトンはマニキュアを落とす除光液の主成分ですし、ベンジン(石油ベンジン)は着物の汚れを落とすときにも使われますね。いずれにせよ、特別な実験室や工場だけではなく、私たちの身の回りには多数の有機溶剤があるようです。
ちなみに、有機溶剤、化学の実験室では「有機溶媒」と呼ぶことが多いです。下の写真は私の研究室の薬品庫にあった有機溶媒です。あまり薬品を使用しない私の研究室でも、これぐらいはあります。
さらに、これらすべて、危険物第4類でもあります。火気厳禁です。
Wikipediaによれば、シンナー、ラッカーを扱う塗料販売業、塗装業、ドライクリーニング用の溶剤を扱うクリーニング業、燃料タンクやピット等で作業する清掃業、インキや溶剤を扱う工場、分析・検査業務など、資格の必要な職場は幅広いそうです。
受験資格は「18歳以上」のみ! なので、工芸大学の学生の皆さん、有機溶剤作業主任者、是非、取得してみてください。技能講習の参加受付日は7/10です。詳しくは授業中に配布されたチラシをご覧下さい。
来年は、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者の技能講習が、厚木キャンパスで実施される予定です。こちらも是非!
※ 有機溶剤作業主任者・特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者の詳しい情報は、労働安全衛生管理協会のWebページをご覧ください。