『タワーマンションは大丈夫か?!』という本が出版されました。何かとネガティブな側面がクローズアップされる超高層分譲集合住宅ですが、その実態や課題、また可能性を、各分野の専門家・研究者が多面的に論じたものです。そのなかの「タワーマンションのエレベータが止まるとどうなる?」を、森田芳朗教授が執筆しました。2011年3月11日の東日本大震災のさなか、首都圏のタワーマンションでは何が起きたのか。建築構法研究室の皆さんと当時行ったフィールド調査をまとめたものです。
よく知られるように、東日本大震災の際、タワーマンションではエレベータが止まり、居住者は不自由な生活を余儀なくされました。その間のことを調べてみると、ドライなコミュニティという世の中のイメージとは裏腹に、安心できる環境を確保するための助け合いが、マンションの外との関係を含めて、実は様々なかたちで生まれたりもしています。タワマンならではの充実した共用施設や管理体制が思いがけないかたちで活躍する場面もありました。
非常時だから見えてくる物事の側面があるようです。今回の緊急事態では、建築やまちのどんな姿が現れてくるでしょうか。「ステイ・ホーム」しながらも、目を凝らして観察してみたいと思います。
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