建築設計計画Ⅱ研究室 × 建築構法研究室 共同リサーチ
神奈川県厚木市と伊勢原市の2市にまたがる配置されている愛甲原住宅は、1966年に国家公務員共済組合連合会によって約900戸が分譲されスタートした。大山の裾野の高台という立地や、中央のロータリーがつくり出す不思議な中心性に魅力を感じた。
2020年4月~8月にかけて、この住宅地の現状を把握するためのヒアリングとフィールドワークを行ったうえで、住宅地の今後の可能性を「住宅地に網状農地をつくる」プロジェクトとしてまとめた。
道路境界や隣地境界など、住宅地には様々な「境界」が網状に張り巡らされている。
住民へのヒアリングと並行して、分譲当時の写真も収集した。ハウスメーカーの当時最新の規格化住宅も写っていて、いまでも残るそれらの住宅(‘ヴィンテージハウス’と呼んでみる)は、写真が撮影されたポイントを探る基点になる。
住宅地を縦断する犬走り空間。ひとりで黙々と行う庭いじりによって住宅地の景観がつくられてきた。
ストリートビューを活用した道路境界のリサーチ。
土地が傾斜しているので、庭と道路のレベル差は場所ごとに異なる。大谷石を使ったかつての造成跡に新たな塀を付け加えているタイプが散見される。
道路境界の立面図。住宅の集合ではなくひとつの連続した構築物としてとらえると、方位や、道路と宅地のレベル差(パーキングによる切り開きの有無)、塀やフェンスのつくり方などによって、道ごとにかなり異なっていることがわかる。
プランターバッグを使うことで塀やフェンスにも植生を連続させ、また境界の前後50センチを緑化できる。植物が必要とする土量や重量を考慮した持ち手をモックアップで検討。持ち方をデザインする。住宅地に張り巡らされる植生環境を「網状農地」と名付けた。消費する住宅地から生産する住宅地へ。
リサーチを「作品」としてアーカイブ。オンラインで分担した作業を統合する。