今年度のリレー連載は、基礎教育の教員がこれまで読んだ本や映像作品などの中で、⾃分の⼈⽣に⼤きな影響を与えたと思われるものを紹介していきます。機会がありましたら皆さんもぜひ手に取ってみてください。今月は小川真人先生にご寄稿いただきました。
こんにちは。基礎教育課程教授の小川真人です。
テーマは「人生の転機となった一冊」で、自分の人生の転機に啓示を与えた一冊について話すべきかもしれませんが、そういうドラマはあいにくありませんでしたので、本学に来て関わりの深くなった本をとりあげます。それはゲーテの『色彩論』です。

わたしはヘーゲルの芸術哲学の研究者ですので、ゲーテの『色彩論』は参考文献のひとつとして接していました。しかし、本格的に関わることになったのは、東京工芸大学とのご縁です。一つは本学中野図書館に『色彩論』初版本(1810)が三巻一括で収蔵されていること、もう一つは、「色の国際科学芸術研究センター」です。写真の専門的な教育研究機関として出発した本学にゲーテ『色彩論』の初版本が収蔵されていることを知って、写真から出発した学校とゲーテ『色彩論』初版本収蔵の取り合わせに私は感銘を深くしました。「色の国際科学芸術研究センター」では最先端の科学研究やメディアアートが発表されているので、「ゲーテの色彩論」研究はよく言って蒼古の趣でしょう。それでもこの機会に私はゲーテ『色彩論』をあらためて集中的に読むことになり、自分にとって重要な本になりました。
さて、いま上野で開催中の『ターナー展』(国立西洋美術館)で、本学中野図書館所蔵の初版本『色彩論』が、展示されています。イギリス人のターナーが、ニュートンを徹底して批判したドイツの文豪ゲーテにアプローチするのは違和感あるかもしれませんが、ターナーの絵画芸術では、ゲーテを含む色彩研究が大きな意味を持っています。会期中に是非この展覧会に足を運んでみることをおすすめします。

ご紹介いただいたゲーテ『色彩論』は初版本のほか、日本語翻訳版(全3巻)も中野図書館に所蔵されています。
第1巻 請求番号:425.7/G/1 資料ID;200493526 第2巻 請求番号:425.7/G/2 資料ID:200493535 図版集 請求番号:425/G/3 請求番号:200493544

















