今年度のリレー連載は、インタビュー形式で基礎教育の専任教員をご紹介していきます。基礎教育の教員プロフィールは
https://www.t-kougei.ac.jp/gakubu/arts/liberal/staff/
に掲載されていますが、それ以外に色々と掘り下げていきたいと思います。今月は、この4月に本学に着任された石井麻璃絵先生です。
Q:研究分野について簡単にご説明ください。
19世紀イギリス小説について研究しています。19世紀イギリスは新しい移動手段としての列車が登場するなど、人々の間で「旅」が活発になった時代です。人が生まれた場所で生涯を終える時代は終わり、文学作品ではそれまで家庭のなかに身を置いていた女性が冒険に旅立つ姿が多く描かれるようになりました。シャーロット・ブロンテやエリザベス・ギャスケル、ウィルキー・コリンズたちの作品にみられる、近代化する社会のなかで旅を通して生き方を模索する女性に注目しています。
Q:その分野を研究していて面白いところはなんですか?
イギリスをとても身近な国と感じるようになりました。私は小学生のころコーギー(ウェルシュ・コーギー・ペンブローク)を飼っていましたが、コーギーはイギリスのエリザベス女王が長年愛してきた犬です。そのエリザベス女王も昨年96歳で亡くなり、息子チャールズ皇太子が戴冠式を経て国王になる様子が最近日本のテレビでも放送されました。また中学の時には『ハリー・ポッター』シリーズが世界中で大流行しましたが、ハリー・ポッターは現在でもとても人気で、今年豊島園にオープンするスタジオツアーは本場イギリスに次いで日本は2番目の国です。アフタヌーンティーやスコーン、英国展や不思議の国のアリスのお店など、日本人にとってイギリス文化は結構なじみがあります。
<コーギーのダイナ>
Q:おすすめの本や映画を教えてください。
映画が大好きで、大学生の頃は多いと一年に100本ほど観ていました。観た後で感想をノートに書いてまとめるのも一つの楽しみでした。ゆったりしたファミリードラマよりもアクションやホラー、「時間」を扱った先の読めない展開やラストでどんでん返しが待っている作品が好きで、『アイデンティティ』や『ユージュアル・サスペクツ』、『プレステージ』、『ドニー・ダーコ』はとても面白かったです。
Q:大学生時代に一番頑張ったこと(思い出深いこと)はなんですか?
大学2年生のときのイギリスへの留学体験(40日間)はとても貴重で強烈な経験になりました。それまで家族旅行で海外に行ったことはありましたが、現地で大学の授業に参加し、授業の後はバスであちこち連れて行ってもらうフィールドトリップ、友達と寮で生活する間スーパーで買い物をしたり、コインランドリーで洗濯をしたり、最後の2週間はホームステイをしてホストファミリーと交流するなど、旅行ではなかなか経験できない体験をすることができました。日本以外で暮らす人々の生活に直接触れることで、改めて異文化理解の大切さ、言語力だけでなく社交の大切さを学びました。
<ホームステイ先の家族と>
Q:東京工芸大学の良いところを一つ挙げてください。
キャンパスがモダンで学生にも教員にもとても居心地のよい空間になっています。中野キャンパスはできてまだ数年の新しい建物も多く、ガラス張りの教室など清潔で開放的な雰囲気を与えています。近代的なデザインのキャンパスは、今後芸術の世界で活躍しようとしている学生にとって、とても刺激になると思います。また、大学の建物では卒業生や教員、学生の作品が展示、公開される機会も多く、近隣住人が文化や教養に触れる機会として貢献しています。
6月は牟田淳先生にご登場いただきます。お楽しみに!