芸術学部 基礎教育

蔵書展示のお知らせ:「フランス版画の世界――その起源から1660年代まで」

こんにちは、基礎教育准教授の大森弦史です。


現在、厚木キャンパス中央図書館2階にて、私が企画・解説した蔵書展示を行われています。以下、概要です。

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フランソワ・クールボワン『フランス版画史』(François Courboin, Histoire Illustré de la Gravure en France, Paris: Le Garrec, 1923-29.)第1巻から、黎明期〜1660年代までのフランス版画のファクシミリ(複製)を厳選してご紹介します。

ヨーロッパの版画の歴史は意外なほど新しく、現存する作例では1370年頃が最古、その起源は遡っても13世紀末と考えられています。初期の西洋版画は、凸版・凹版の2種の異なる系統が平行して誕生・発達しました。凸版はハンコと同じように、彫り残した部分が印刷される方法です。その簡便な原理から、黎明期の版画といえばもっぱら凸版であり、版に主に木の板を用いたことから「木版画」とも呼ばれます。その太い線による素朴で武骨な絵肌は、独特の魅力を持ちあわせています。

一方、凹版は逆に彫った部分が印刷される方法であり、版には薄い金属の板、主に銅版を用いることから「銅版画」と通称されます。この方法は15世紀初め頃、金工細工師の工房から誕生しました。金属版に溝を刻み、インクを詰め、強い圧力をかけてインクを紙に吸い取ることで像を得るのです。銅版画は、細い線による精緻な表現が可能だったことから、16世紀に入ると木版画を退けて版画の標準的な方法となり、多種多様に技法が発達しました。

銅版画の技法は、エングレーヴィングとエッチングに大別されます。エングレーヴィングはビュランと呼ばれる細いノミで直接線刻する技法で、その画面にはシャープで硬質な特徴があらわれます。一方エッチングは、酸の腐食作用で銅版を溶かして溝を刻む技法であり、技法の組み合わせから、さまざまな表情を自在に生み出すことができました。

いずれの技法にとっても、フランスは多大な貢献を果たした国でした。エングレーヴィングの技巧はフランス宮廷の熱心な学芸振興によって17世紀後半にその頂点を迎え、エッチング技法は2人のフランス人、ジャック・カロとその弟子アブラム・ボスによって確立されたからです。

版画は方法・技法ごとに異なる絵肌を持っており、それぞれに独特の美を放ちます。本物に劣らぬ品質をそなえた高精細なファクシミリを通して、じっくり比較してみてください。

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12月の一枚:「星の季節」

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