芸術学部 基礎教育

2013年度リレー連載 第6回:マーケッティング論入門

第6回担当の高木 聖(たかぎ さとし)です。今回は私の担当科目の中から「マーケッティング論」について取り上げることにいたします。ただし通常この分野は「マーケティング」と促音(つまる音)抜きで表記されていますので、以下そちらで表記いたします。

「マーケティング」の概念は1953年にアメリカから導入されたといわれています。日本マーケティング協会の定義によれば「マーケティングとは、企業および他の組織(1)グローバルな視野(2)に立ち、顧客(3)との相互理解を得ながら、公正な共生を通じて行う市場創造のための総合的活動である」となっています。すなわち

(1)利潤を必ずしも追求しない学校、病院、公共機関にも適用可能である
(2)国内外の社会・文化・自然環境を重視する
(3)消費者はもとより取引先、地域住民を含む

というわけです。アメリカ生まれのマーケティングではありますが、すでに我が国には近江商人の経営哲学「売り手よし、買い手よし、世間よし」があったことからその受容と普及は円滑でした。

広告に関する研究も包含しています。たとえばCMとPRとの区別です。前者は商業的な伝達(Commercial Message)、後者は公衆との良好な関係作り(Public Relations)のことをいいます。たとえば、就職活動における面接試験で「自己PRを1分間で」などという要求があります。このとき自分をアピールしようとして、「Aという資格をもっている、Bというスキルがある、Cという経験もした……」となりがちですが、実は感心いたしかねます。すなわちそれはあなたのCM(労働力としての売り込み)であってPRにはならないからです。さまざまな背景をもつ多くの人々とある程度「良好な関係」を築けるかどうか、それを見ようというのが先方の質問の意図ですのでそうした観点からあらかじめお考えください。

また「良好な関係」を築くためにはコミュニケーションが大切です。ところが「コミュニケーション能力が重視される」という情報を断片的にとらえ、学生は「話す」スキルの開発にとかく熱心になりがちです。これは「深呼吸」と似ています。誰もが「息を吸う」ことに意識を向けがちになりますが、実は「しっかり息を吐く」ことができればあとはおのずと吸えるのです。コミュニケーションとはそもそも相互理解のためにあるもの。覚えてきたことを一方的に話すばかりではあなたの魅力は伝わりません。就職面接は演説会でも発表会でもないのです。相手の発言をさえぎって自分の主張を通そうとするあさましい様子をTV番組で見かけることがあります。そのような人物を同僚や自分の部下に加えたいでしょうか。「聞く」=「相手に敬意を示し、正しく理解しようとする」態度、そのあたりも含めて準備し、面接にのぞんでいただきたいものです。卒業後どのような進路を選択するにしても重要なことといえるでしょう。

現状では2年次配当の科目ですが、3年次配当への移行(復帰)を視野に入れつつこうした側面も可能な限り紹介し、「実学」の醍醐味を味わっていただきたいと考えております。授業の運営方法は1年次配当の「経済学概論」と同様ですので、期待にお応えできるものと確信いたしております。

東京工芸大学女子短期大学部の卒業生にお会いしました

お知らせ:牟田淳准教授の新著が発売されました

大学公式サイトはコチラから
KOUGEI PEOPLE 東京工芸大学 学科・コースブログ集

最近の投稿

アーカイブ

大学公式Webサイトで
工学部・芸術学部の詳細を見る

PAGE TOP