工学部 基礎教育研究センター

4 いらか会合唱団

来月になるが、8月7日(土)に東京文化会館で「第50回甍(いらか)演奏会」という催しがある。これは男声合唱団ばかりの4つの団体の合同発表会(ジョイントコンサート)で、演奏する曲も男声合唱曲ばかりである。この演奏会に出演する早大OBの方から人づてに教えていただいた。

  • <第1部> 三善晃 ● 木島始の詩による3部作
  1. 二群の男声合唱とピアノのための《路標のうた》
  2. 男声合唱のための組曲《だれもの探検》
  3. 男声合唱とピアノ(四手)のための《遊星ひとつ》 ※第30回甍演奏会委嘱作品
  • <第2部> 歌い継ぐうた
  1. 出演4団体の単独演奏によるステージ <司会>軽部真一(フジテレビアナウンサー)
  • <第3部> 新実徳英 ● 詩  星野富弘
  1. 男声合唱とピアノのための《花に寄せて》

実は、今年は東京文化会館が出来て50周年にあたるそうで、その記念行事への参加公演という形もとっている。さすがに、50年も続くと、参加者の年齢層も多岐にわたる。参加4団体は、

  1. 早稲田大学高等学院グリークラブ、
  2. 早稲田大学コール・フリューゲル、
  3. いらか会合唱団、
  4. コール・フリューゲル シニアOB会 三月会、

となっている。この中で、(1)が早大附属高校のひとつである高等学院の生徒のサークルで、(2)が名前からしておそらく大学生サークル、そして、(3)が卒業生の合唱団で、(4)は(3)の団員の中である年齢に達した者だけが入会できるサークルであると聞いた。

実は、筆者は昨年2010年にあるご縁で、ある第九を歌う会の事務のお手伝いをさせていただいたことがある。その時の本番がちょうど1年前の同じ日、8月7日だったので、少しこのコンサートについては感じるところがある。しかも、そのとき第九に男声で参加した方たちの中に、早大OBの方が何人かいらっしゃり、早大の男声合唱のOBがどんなに頑張っているか、卒業後、いや定年退職後もいろいろな合唱団で歌い続けているというお話などを伺ったのだった。(その中には、現在も連絡のある方もいる。)

早大はご存知のとおり(そして、筆者が尊敬する吉永小百合さんが、西洋史学科を卒業されていることからもわかるように)、共学の大学であるが、附属である高等学院は男子生徒ばかりの高校である。当然、合唱関係の部活はグリー(男声合唱団)しかない。そのグリーで男声合唱の楽しさにめざめた学生たちが、大学でも続けてコール・フリューゲルに入り、卒業と同時にいらか会に入り、気がつくと三月会に入っていたという人生の縮図が手に取るようにわかる。OBの合唱団だけでないく、シニアOB会があるところがすごいと思いませんか。

コール・フリューゲルのコールはドイツ語で合唱団のこと(英語、chorus)、フリューゲルはドイツ語で「翼」(英語、wing)の意味である。そのOBからなる合唱団「いらか会」の「いらか」は早大の校歌「都の西北」の中の有名な一節から取ったのだそうだ。「都の西北 早稲田の森に 聳(そび)ゆる甍(いらか)は われらが母校」という出だしの部分である。(私は、その後に続く「学の独立」ということばが好きである。)

さて、OB会というと、ふつうのイメージは年に1回、母校の学園祭などのときだけ集まって、「OB会」という名前で美味しいものを食べたり、おしゃべりをしたりする(親交を温めるというらしい)のであるが、合唱団のヒトたちはさすがに違う。彼らは卒業後も実際に団を組織し、定期的に集まり、練習をしているのである。これは、過激に体力を消耗する運動部などともかなり違う文化があるのではないだろうか。

団員の中には、一級建築士として働いている者、大学教授など、多彩な人材がいるが、集まったときには「もう年齢でね、高音が出ないんですよ」とか言いながら仲良く歌っている。そして、長年歌っているだけあって、体力的には多少問題はあるものの、技術的にはすぐれ、とてもきれいな声である。髪の毛は白くなっても、熱中症で倒れそうになっても、ステージの上では私たち若輩者をリードしてくれた。そんな彼らの話を聞いているだけで、こちらも何だかほほえましくなってしまう。そして、彼らの仲の良さがうらやましい。スポーツ医学的に見ても、合唱は健康維持にとても適した全身運動なのではないだろうか。

すばらしいステージとなることを願っている。

(参考サイト)

「甍50」 真夏の男声合唱 、半 世 紀 。2011年8月7日(日)東京文化会館

http://sound.jp/iraka/

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