デザイン学科助教の木下です。
さて、新年度が始まりましたが、昨年の最後の視察の旅を少しご紹介します。
産学協同プロジェクトでご協力いただいた、穴井木材さんへフィールドワークも兼ねて研究室の有志のメンバーで伺いました。
JID 次世代を担うデザイン展
https://blog.t-kougei.ac.jp/design/2025/10/21/2686/
熊本県、南小国町は、総面積115.90平方kmの85%が山林原野で占められ、緑と水のきれいな観光と農林業を主産業とする人口約4,000人の純農村。約4000人の町ながらも、2023年には年間約138万人の観光客が来訪する関係人口モデルとして名高い町でもあります。林業→製材所→プロダクト→空間と、余すことなく杉材を活用したプロダクト開発の内容や、展開するライフスタンス、ブランド戦略と文化形成についての実感を得てきました。

穴井木材工場
ブランド材でもある小国杉についての解説。年輪の見方、硬さや値段のつき方などをレクチャーいただく。現状、小径木の価値が上がってしまい、3代4代で繋いだ大径木80年の価値が低下しているとのこと。

竹の熊 正倉
その大径木の価値を見出すために設計された建築。80年の木材を使用した「縦ログ」の建築。径木の厚みだけで断熱を取る構造。全身で沐浴ならぬ木浴となる空間になっている。階段は丸太のスライスを壁にそのまま差し込み階段を形成している。

喫茶 竹の熊
風景を守る建築。水面と同じ目線となる客席と、板の間の建築を回廊が繋ぐ環境と建築、営みが一体となった施設。照明のない建築は、日が落ちると営業終了するサーカディアンリズムにのる人間本来のリズムを引き出す。小さな杉板を何枚も重ねて葺く「こけら葺き(こけらぶき)」に近い手法で、約6万6000枚の小国杉を使用している。里山の生活を支えてきた水をテーマとした素晴らしい建築でした。


ライフスタンスブランドFIL
木材としてだけではなく、山に溢れる杉の葉を精油してエッセンシャルオイルを開発。また精油後の葉を灰にして釉薬を作り、食器まで作成するというサーキュラーブランドともなっているFILブランド。木育にも力を入れており、近隣の小学生が訪問し3Dデータを操り作品を作っていくそうです。
地域資源と観光産業の関係づくりと、建築や製品作りの軸をライフスタンスに持たせた「風景」の守り方がとても勉強になった視察でした。また、現代的だと感じたのは、その活動や体験をシェアする「SNS」の力。魅力ある場所を作り出すことで「拡散」されるヴィジュアル情報を通じて、体験者が増えていると教えていただきました。口伝ではないこの現代のツールの効果も、「風景を守る」という目的に寄与しているという面白さも感じた視察となりました。























