大学教員にはいろいろな仕事があります。教育、研究、そして大学の組織運営などなど。その他、地方自治体等からさまざまな委員を依頼されることがあります。環境○○委員とか、教育△△審議会の委員とか、一応、学識経験者枠になるみたいです。そんななか、数年前のある日、とある地方裁判所から電話がありました。裁判所からの突然の電話は、さすがに少し焦りましたが、実際は、とある民事裁判の専門委員の依頼でした。特許関係の訴訟のようです。
裁判所への出張は1度きりでした。事前に分厚い資料が届き、ここを読んでおけという印の付箋がたくさんついていました。出張の日はその資料をもって、新幹線に乗り、裁判所へ。
人生初の法廷。小さな法廷でしたが、趣がありました。我々は円卓に座り、向こう側には傍聴席。スクリーンとパソコンが設置されおり、パワーポイントを使って裁判は進んでいきました。まるで学会発表、いや、円卓なのでゼミの感じに近いでしょうか。
その裁判出張はコロナの始まる前でした。それが、先日、裁判所から「おかげさまで解決しました」という趣旨の通知が届きました。長い。
でも、自分の勉強・研究してきた知識や経験が少しでも役に立ったのであれば、嬉しいです。材料化学の研究に携わる身としては、「材料の特性を向上させる」とか「新しい材料をつくる」などの分かりやすい研究成果を追い求めていますが、それとは違った社会貢献の形があることを知りました。
ちなみに、この専門委員の辞令ですが、任命権者が最高裁判所となっていて、ちょっとカッコいいです。