工学部建築コース森田芳朗教授の共編著書『建築・まちづくりのための空き家大全』が、公益社団法人日本不動産学会の2024年度著作賞(実務部門)を受賞しました。本賞は、同学会が2022年4月1日から2025年3月31日の期間に発表された論文、論説、著作から優秀作品を表彰するものです。共編著者の一人である岡山大学の橋田竜兵講師は、本学森田教授の研究室の卒業生でもあります。
2023年の住宅・土地統計調査によれば、国内の空き家数は900万戸、全ストックの13.8%に及びます。この割合は世界的に見ても高く、今後も増え続けることが予想されます。不動産の流通市場においても、賃貸市場においても、この膨大な数の空き家を有効に活用し、市場に取り込むことが大きな課題です。国民経済的な観点からも、空き家がそのまま放置され外部不経済を引き起こすことは大きなマイナスです。社会の「負債」になりかねない空き家の価値を保持し、暮らしやまちを豊かにする「資産」に転じることが求められています。もっとも、空き家が増加する要因は人口減少のみならず、新築に依存し続ける住宅産業、スプロールを制御できない都市計画、空き家の除却を阻む税制など、様々な状況が絡み合っています。それゆえ、特定分野の知識や技能のみで問題に対峙することは簡単ではありません。本著作『建築・まちづくりのための空き家大全』は、この一筋縄ではいかない「空き家」という課題の全体像を捉え、社会として解決に向かっていくためのバイブルとしてまとめられたものです。


















