芸術学部基礎教育における授業『アートと物理』(牟田淳准教授)では、宇宙と物理の不思議でロマンチックな側面を学びます。
サイエンス・フィクション(SF)という言葉があるように、宇宙と物理の不思議でロマンチックな側面は、文学・アニメ・マンガ・映画その他沢山の作品に取り込まれてきたのです。
サイエンスを作品に取り入れた例として、宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』が有名です。
この授業では『銀河鉄道の夜』を入口に、様々な宇宙と物理の不思議な側面を学びます。
今回はその中の最初の一部を紹介します。
皆さんは名作、宮沢賢治著『銀河鉄道の夜』を実際に読んだことがあるでしょうか?
『銀河鉄道の夜』では、なんと銀河鉄道が夜空を旅するのです。
その旅の過程では、様々な星座が登場します。
例えば白鳥座、わし座、さそり座、そして南十字星も登場します。
授業では『銀河鉄道の夜』を読みながら、これらの星座を学び星空に親しんでいきます。
それではこれら『銀河鉄道の夜』に出てくる主な星座を実際に一望できる場所はあるのでしょうか?
銀河鉄道の夜の舞台の星座が一望できる場所の例として、オーストラリアがあります。
8月のケアンズやエアーズロックなどでは、銀河鉄道の夜の舞台の主な星座を一望できるのです。
上の写真はエアーズロックで牟田が撮影したものです。ここは宿泊所以外は基本的には何もありません。
そのため、夜は真っ暗になり、天体観測にはもってこいの場所なのです。
そこで撮影した夜空が上の写真です。白っぽい部分が天の川です。
そして左の方にはくちょう座、真ん中あたりにさそり座、右の方に南十字星などの『銀河鉄道の夜』に登場する星座が見えます。
つまり、これは『銀河鉄道の夜』の舞台の主な星座が映し出された写真なのです!(但し、これは全天が見えるレンズで撮影しているので、星空が歪んでいます。)
上の写真は有名な南十字星の写真です(ケンタウルス座の一部も見えます)。南国に行くと、オリオン座やさそり座のように目立つ星座です。
銀河鉄道の夜ではこの南十字星も登場し、そして南十字星のそばの石炭袋と呼ばれる、天の川の暗いところに向かう途中で銀河鉄道の夜空の旅は終わりを迎えます。
オーストラリアに旅行したら、是非とも満天の美しい夜空を見ながら『銀河鉄道の夜』の舞台を自分で見つけてみましょう。
きっと星空がもっと大好きになるでしょう。
この授業の内容は書籍「宇宙と物理をめぐる十二の授業」(牟田淳著、オーム社、2010)として書店などで出版されています。
また、2012年の時点で110を超える大学図書館などでも詳しく知る事が出来ます。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB01984904
また、南十字星はオーストラリアまで行かなくても、サイパン、グアム島などでも見る事が出来ます。
ちなみに「日テレBS 世界探訪!空港物語 ワンダーエアポート やしまミチコの空辞苑
10月27日テニアン国際空港・ロタ国際空港(サイパン)」に牟田淳がロタ島で撮影した南十字星の写真が放映されました!
http://www.bs4.jp/wonderairport/onair/index.html