芸術学部 基礎教育

蔵書展示のお知らせ:「美しくかわいい絵本たち――ヴィクトリア朝イギリスを中心に」

こんにちは、基礎教育助教の大森弦史です。

現在、厚木キャンパス中央図書館2階にて、私が企画・解説した蔵書展示が行われています。以下、概要です。

***

本展示では、図書館所蔵の貴重書などから、ヴィクトリア朝イギリス(1837-1901)において制作された子供向け絵本・挿絵本をご紹介します。

絵本を見る、読み聞かせてもらう――こうした幼少期の記憶は、私たちにとって当たり前のように感じられるかもしれません。しかし、絵本の誕生はそれほど古いことではありません。そもそも西洋で活版印刷本が誕生したのは15世紀中頃のこと。平易な内容で、色鮮やかな挿絵をふんだんに施した〈子供のための絵本〉の登場となると、実に19世紀後半まで待たなければなりませんでした。

帝国の絶頂期を迎えていたヴィクトリア朝イギリスはまさに、近代の絵本文化を育んだ「揺り籠」でした。経済力を備えた上流・中流階級は、自分たちの豊かで文化的な人生を子供たちも送れるようにと、その教育に非常に熱心に取り組みました。絵本は「子供の発達段階に相応しい書物」が強く求められたからこそ誕生し、多様な発展を遂げていくことになったのです。

このニーズに目をつけ、トイ・ブックと呼ばれた子供向け絵本の分野で大成功を収めたのが、印刷・出版業者のエドモンド・エヴァンスです。彼はカラー木口木版を用いて、従来は手彩色に頼っていた挿絵のカラー印刷を実現し、ウォルター・クレイン、ランドルフ・コールデコット、ケイト・グリーナウェイなど、子供向け絵本の開拓者たちの作品を、次々と世に送り出すこととなりました。

この揺籃期に咲いた〈美しくかわいい絵本たち〉は、今なお復刻・翻訳されて世界中で読み継がれています。時代を超えて愛されてきたその色褪せぬ魅力を、眼で見るだけでなく、どうぞ手に取って感じてみてください。

***

リレー連載12月号:私は「古墳ガール」!

リレー連載1月号:「私の日常―非連続の連続」

大学公式サイトはコチラから
KOUGEI PEOPLE 東京工芸大学 学科・コースブログ集

最近の投稿

アーカイブ

大学公式Webサイトで
工学部・芸術学部の詳細を見る

PAGE TOP