芸術学部 基礎教育

リレー連載・教員インタビュー11

今年度のリレー連載は、インタビュー形式で基礎教育の専任教員をご紹介していきます。基礎教育の教員プロフィールは

https://www.t-kougei.ac.jp/gakubu/arts/liberal/staff/

に掲載されていますが、それ以外に色々と掘り下げていきたいと思います。

2月は、小田珠生准教授に原稿をお寄せいただきました。


Q: 研究(制作)分野について教えてください。

私は、日本語教育を専門としています。日本語教育とは、留学生など、日本語を母語としない人々に日本語を教育するということです。その分野の中でも、特に私は「言語生態学」の視点から日本語教育を捉える試みをしています。「言語生態学」では、言語を人間から切り離された「分離された実体」とは捉えません。どういうことかというと、言語の状況とその言語を使用する人間の状況は一体化していて分離することができない、と捉えるのです。例えば、留学生が日本で自身の言語能力を充分に発揮できない場合、彼らは自分自身のあらゆる力を充分に発揮できない不安な状況であると言えます。日本においてマジョリティである日本人(日本語母語話者)は、彼らの母語を尊重しつつ、日本語を学びやすい環境をつくっていく必要があります。

Q: その分野を研究していて、最近気になることは何ですか?

人工知能(AI)の甚だしい発展が気になります。AIの発展は効率化に大きく寄与するでしょうが、効率化ばかり追求しながら言語を使い続けると、広い知識や深い思考力、表面的ではない人間関係構築力を身につけることは難しいかもしれません。言語教育者としてどのようにあるべきか、喫緊の課題です。

Q: ⼤学⽣の頃はどんな学⽣でしたか?最も思い出深いことは何ですか?

 わりと生真面目な大学生だったと思います。専攻は日本文学で、授業を欠席したことはほとんどなく、授業中は一心不乱にノートをとるタイプの学生でした。言い換えればあまり融通が利かない性質だったので、そのことに若者らしく(生真面目に)悩んでいた記憶があります。その後、大学院に進学した際に、専攻を日本語教育に変更しました。そこで、あるブラジル人のお子さんの学習支援に長期間ボランティアで携わったことが、私にとって「学生時代の思い出深いこと」です。彼や彼のお母さんとのやりとりの中で、人間関係を築く上で必要なのは型通りのことばかりではないことを学びました。支援者でありながら多くのことを学ばせていただいた、感謝しかない温かい思い出です。

Q: 最近のおすすめの[本・映画・展覧会など]をご紹介ください。

おすすめの本をご紹介します。

・タイトル:『こころ』で読み直す漱石文学 大人になれなかった先生
・著者:石原千秋
・出版年:2013年
・出版社:朝日新聞出版

Q: 東京⼯芸⼤学の良い所を⼀つ挙げてください。

感性の豊かな学生が多いところです。先日、あるデザイン学科の留学生と本学6号館から1号館方面まで一緒に歩いたのですが、途中の神田川にかかる橋の上でその学生が「あ、先生、ほら」と言って立ち止まるので、何かと思ったら夕日が沈むところでした。私も「ああ、きれいだな」とは思ったのですが、彼女がとっさにスマートフォンで撮って見せてくれた輝く川面の写真が、あまりにも衝撃的な美しさだったので腰を抜かすかと思いました。彼女の眼にはこのように世界が映っているのか、と瞠目するばかりだったのを覚えています。

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