芸術学部 基礎教育

リレー連載・教員インタビュー10

今年度のリレー連載は、インタビュー形式で基礎教育の専任教員をご紹介していきます。基礎教育の教員プロフィールは

https://www.t-kougei.ac.jp/gakubu/arts/liberal/staff/

に掲載されていますが、それ以外に色々と掘り下げていきたいと思います。

1月分の掲載が遅くなりましたが、石川健次教授に原稿をお寄せいただきました。


Q: 研究分野について簡単にご説明ください。

近現代美術史、特に戦後から現在に至る同時代の美術史が中心です。

個人的には絵画に最も関心があります。そのため勢い絵画を中心に見たり、研究することになりがちですが、昨今はアートの世界でもボーダレス化が進み、さまざまなメディアが融合した表現が多く、日々新しい知識や情報を得てゆかなければ既存の知識だけでは多様な現代アートに追いつけなくなっています。

Q: その分野での最新の(注目の)トピックは何ですか?

すでに触れたように、現代アートは年々ボーダレス化、多様化が進んでいます。テクノロジーの進歩がいっそう拍車をかけているのは言うまでもありません。変化に富んだ作品はもちろん、それまではアートの範疇とは考えられていなかった「もの」や「こと」がアートに取り込まれたりもしています。

そうした現状を見るだけでも楽しいです。ボーダレス化、多様化それ自身がトピックと言えるのかもしれません。

Q: 今、おすすめの[本・映画・展覧会など]を教えてください。

ボーダレス化、多様化が進む現代アートと並走してゆくためには、日々新しい知識や情報を得てゆくことが欠かせません。昨年12月、私が研究科長を務めている本学大学院芸術学研究科が主催するシンポジウム「テクノロジー×アートが創る未来」を、東京都写真美術館で開催しました。東京の虎ノ門ヒルズステーションタワー「TOKYO NODE」運営室長でアート・イベント プロデューサーの杉山央氏、チームラボの採用チームリーダー、山田剛史氏、未来の可能性をかたちにするクリエイティブ・カンパニーのロフトワーク共同創業者・相談役の林千晶氏をゲストに、本学教員らと熱いディスカッションを繰り広げました。新しい知識や情報に触れる格好の機会でした。

 

活発に語り合ったシンポジウム「テクノロジー×アートが創る未来」でのディスカッション風景=昨年12月、東京都写真美術館で

実は展覧会こそ、そうした新しい知識や情報を知るための最高の機会、場であるでしょう。とはいえ最新のアートだけを見るだけで必ずしも事足りるわけではありません。現代アートの世界では常に温故知新的な発想、アイデアと出会うことが多々あります。

言い換えれば、アーティスト自身が革新的なアートに到達するために古き時代のアートを源泉に、あるいはそこからインスピレーションを得ていることがよくあるのです。極端なことを言えば、見る側の私たちも古き時代のアートを知っていなければ現代アートについて行けないということです。

そういう意味では、安土桃山時代から江戸時代初期に書や漆工芸、陶芸など多彩に活躍した本阿弥光悦の全貌に迫る「本阿弥光悦の大宇宙」(2024年3月10日まで、東京国立博物館)は、日本人の普遍的な美的感性にも肉薄する好企画です。

一方、東京・虎ノ門に新たに生まれた現代アートの拠点、麻布台ヒルズギャラリーでは、気候変動など社会的課題をしばしば主題に、太陽光などの自然現象を素材にまったく新しい知覚体験を演出するアイスランド系デンマーク人のオラファー・エリアソンの展覧会(3月31日まで)が開催されています。古今東西、さまざまな展覧会を見ることが、ボーダレス化、多様化が進む現代アートを楽しむ近道かもしれません。

Q: 大学生時代に一番頑張ったこと(思い出深いこと)は何ですか?

特に思い出せません。悲しいことに……。ただ、展覧会はたくさん見ました。古今東西、それこそ手あたり次第という感じです。

Q: 東京工芸大学の良い所を一つ挙げてください。

メディア芸術という共通の関心、目標を持つ仲間に囲まれ、徹底したスキルを身につけることができる、でしょうか。クリエイターとして世に出てゆくには、何よりスキルはもちろん、柔軟でユニークな発想、そしてそれらスキルと発想力を武器に積極的に動くことが大切でしょう。工芸大でそうしたすべてを身につけてほしいです。

リレー連載・教員インタビュー9

相澤先生「壁11㎡の彫刻展」

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