芸術学部 基礎教育

リレー連載「シンポジウム2022『メディア芸術を学ぶ、教える、創る』」

こんにちは、基礎教育教授の石川健次です。

行動力とスキル、それも圧倒的な行動力とスキルが、作家をはじめクリエイションにかかわる仕事には大切だと改めて思いました。昨年12月、本学大学院芸術学研究科が主催し、中野キャンパスで開かれたシンポジウム2022「メディア芸術を学ぶ、教える、創る」での感想です。

芸術学研究科主催のシンポジウムは、今年度で3回目です。1回目は2020年度にメディアアーティストでライゾマティクス・リサーチ主宰の真鍋大度さん、同じくアーティストで東京大学特別研究員の長谷川愛さんを迎えて開催し、第2回は国際的に活躍するキュレーターで金沢21世紀美術館館長の長谷川祐子さんを迎えて2021年度に開催しました。

「メディア芸術を学ぶ、教える、創る」をテーマに、本学の創立100周年を記念するイベントのひとつとして開催された今回のシンポジウムを収録した動画が、この2月、本学ホームページにアップされました。ホームページの大学院芸術学研究科のページから視聴できます。ぜひご覧ください。私はいま、芸術学研究科研究科長の立場にあり、シンポジウムでは進行役を務めさせていただきました。この小稿では、シンポジウムの紹介を兼ねて、その概要に触れてみたいと思います。

マンガやアニメ、ゲームなどのメディア芸術はいま、国内はもちろん、世界中で大きな人気を集めています。エンターテインメントにとどまらず、コンピューターやさまざまな電子機器など日進月歩のデジタルテクノロジーを駆使するインタラクティブアートやインターネットアート、さらにバーチャルリアリティ(VR)や人工生命を駆使するアートの登場は、産業界など異ジャンルとも融合しつつ、いよいよ私たちの暮らしを、日常の景色をも変えつつあります。

今回のシンポジウムは、テーマにもあるようにメディア芸術を「学ぶ」「教える」「創る」をキーワードに、メディア芸術を志すなかで何を、どのように学ぶのか、また立場を変えてメディア芸術を教える側は何を、どのように教えているのか、そしてメディア芸術を学んだその先に新たな創造へとどのようにつなげてゆくのか、を考えます。そのうえで、メディア芸術がどのような社会を、未来を創ってゆけるのか、へと視野を広げてゆきます。

おふたりの本学卒業生をゲストにお迎えしました。ひとりは映像学科卒業生で、アートプロデューサー、文化政策プランナーとして活躍され、現在は公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京企画部事業担当係長の要職にも就かれている廣田ふみさんです。

そしてもうひとりは、写真学科卒業生で「第11回写真 1_WALL」グランプリ(2014)、第46回木村伊兵衛写真賞(2022)を受賞するなど気鋭の写真家として活躍中の吉田志穂さんです。

動画では、廣田さん、吉田さんのさらに詳しいプロフィルやこれまでの活動歴も紹介しています。これらおふたりのゲストと、おふたりが在学中に実際に指導を受けた本学教員を交えて、基調講演や対談、さらにパネルディスカッションを通してテーマに迫るのが、シンポジウムの狙いです。

ゲストのおふたりは本学で何を、どのように学ばれたのか、それを自己実現にどのように活かされたのか、いわば「学ぶ」側の立場に寄り添います。一方の教員は文字通り何を、どのように「教える」のか、自らを省みつつそれぞれ発言しています。そのうえで、メディア芸術が切り開く新たな社会、未来を語り合いました。

さて肝心の具体的な内容ですが、こちらはぜひ動画をご覧いただければと思います。若干言い添えますと、全体を通して私が受けた印象、というか改めて強く思い知らされたことを端的に言えば、冒頭で触れたように行動力とスキル、それも圧倒的な行動力とスキルが、作家をはじめクリエイションにかかわる仕事には大切だということです。

ふと思いついたら、どこへでもすぐに出かけて行く、見に行く、写真に撮る――。そんな学生時代を吉田さんは過ごされていたようです。国内はもちろん、海外へも出かけ、取材や展覧会を開くなど聞いているこちらがハラハラするような腰の軽さ、大胆な行動力に瞠目しました。

本学を卒業した後、山口情報芸術センター〔YACM〕や文化庁文化部芸術文化課、国際交流基金アジアセンターなどメディア芸術の重要拠点で次々と仕事をこなしてゆくなかで、廣田さんはアートプロデューサー、文化政策プランナーとしてのスキルをいっそう磨いていかれました。メディア芸術を支え、その発展や浸透に大きく貢献し続ける廣田さんの圧倒的な経験とスキル、熱意に感服しました。

本学大学院芸術学研究科は、今後も今回のようなシンポジウムをはじめ、研究成果の公開やさまざまな情報発信などに積極的に取り組んでいきたいと思っています。

 

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