芸術学部 基礎教育

リレー連載「コロナ禍を超える学びの力。~『クリエーティブ発想力演習』授業から~」

こんにちは、中路真紀です。基礎教育でキャリア教育科目を担当しています。

本学のキャリア教育科目授業は、『キャリアデザインⅠ、Ⅱ、Ⅲ』と芸術系大学ならではの『ポートフォリオ制作演習』『クリエーティブ発想力演習』の5つの授業で構成されています。その中で『クリエ―ティブ発想力演習』という、ちょっとユニークな授業をご紹介します。

この授業は、『本授業は頭のトレーニングジムである!』というキャッチフレーズを掲げ、10年にわたり大手広告代理店出身の先生方が担当されてきた授業です。毎回課題に対し限られた時間内でアイディアを絞り出し、発表し、フィードバックを受けます。これを15回繰り返すのですから筋トレと同じで、アイディアを出すスピード、量、質が上がってくるのです。

どんな仕事であれ発想力は必要です。最近は、クリエイターならではのアイディアや発想力が様々な業界から求められる傾向にあり、クリエイティブ思考や、クリエイティブシンキングなど、クリエイターの考え方をテーマにした書籍も多く出版されています。変化が速く予測不能な今の時代、新しい商品やサービスを創り出すには、アイディアが必要です。そのため、就職活動でも問題解決をテーマにしたディスカッションや、アイディアを問われる質問などが年々増えています。

今年は、ゲストを3回お招きし、アイディアの源泉は何か、プロならではのエピソードを語っていただき、学生たちに発想法のワークを実施していただきました。「自分の様々な体験がアイディアの引き出しになり、辛い出来事、病気さえも新しいものを創り出すヒントに昇華するのです。」というゲストの言葉に、多くの学生が辛いコロナ禍も今後のアイディアの源泉になりうると気づきがあった、と感想を書いてくれました。また、「アイディアを生み出すためには異才のコラボレーションが必要です。」と話をしてくださったゲストの回では、グループワークで、様々な学科で学んでいる学生が同じ場所で学んでいる「今」が貴重な機会であることを体験してもらいました。

 

グループワークの課題は『私たちはコロナ世代』。写真学科、映像学科、デザイン学科、インタラクティブメディア学科、アニメ―ション学科、ゲーム学科、マンガ学科、7つの学科の混合チームで、コロナ禍で気づいたこと、何が問題なのかを探し、それをコンテンツでどのように問題解決していくのか、企画を考え発表するという課題です。あるチームは、小さな子供たちがコロナ禍の2年間でマスクをすることが当たり前になっている状況を踏まえ、マスクなしの生活について知育絵本で子供たちに伝える、という企画を提案し、また別のチームは、リモートで仕事をしている父親の姿をみて、今まで見てきた家庭での父親と全く別の側面を知り、とてもリスペクトするようになったと語り、かっこいい父親のドキュメンタリー映画を撮りたい、と企画を提案してくれました。その他にもコロナ禍の運動不足を解消するためのアプリや、学習のモチベーションを高めるソーシャルゲーム企画、普段の日常を呼び起こすフレグランスなど、15チームから、コロナ禍で気づきや問題、解決するユニークなコンテンツが発表されました。

そして学びは授業を飛び出し、授業で初めて出会った学生たちがチームを組みCollege Creative Jam 2021という、Adobeが主催するイベントに挑戦することになり、私も学生たちと一緒に参加しました。このイベントは『モバイルソリューションで、社会課題解決を目指す大学生向けのコンペ』で、3ヶ月間かけてゴール設定、リサーチ、プロトタイプ制作、デザインフェースを学ぶイベントです。プロトタイプ制作ではAdobe XDというUI/UXに特化したソフトを使って制作をします。UI(ユーザーインターフェイス)UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインとは、画面デザインやユーザーの経験をデザインすることです。デジタル化により、プロダクト製品やアプリ、WEB、サービス開発、ゲーム開発など、多くの現場でUI/UXデザインが求められています。UI/UXデザイナーが使っているソフトがAdobe XDです。そのAdobe XDの制作を買って出たのは、なんと写真学科の学生でした。私はてっきり写真素材を担当すると思っていたので、その挑戦に驚きつつ、新しい技術やソフトウェアに挑戦するというのは、デジタルメディアを仕事にするクリエイターにとって必要不可欠であり、新しい学びにどんどん挑戦するのも本学の学生らしいな、と思いました。そして、それぞれ違う学科の学生同士、オンラインでコミュニケーションを取りながら制作を進め、無事作品を完成させたことに、大きな拍手を送りたいです。

コロナ禍で大変なことも多いけれど、コロナ禍だからこその気づき、学びや挑戦、経験が、将来みなさんのアイディアの源泉や、クリエイティブの力になっていくのだと思います。コロナ禍を超える学びの力。今年もあとわずか数日となりました。皆さん、来年は何を学びますか?

 

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