芸術学部 基礎教育

リレー連載「美術教育担当の相澤です」

こんにちは。2月の基礎教育リレーブログを担当します相澤久徳です。

今年度より、基礎教育教授として着任いたしました。本学では、美術教育教職関係の授業を担当させていただいています。初めてのブログとなりますので、簡単な自己紹介をさせていただきます。

私はこれまで講師として、幼児教育から、初等、中等、高等教育、そして専門教育まで、実務家教員として様々な学校で美術の表現指導に関わってきました。美術の表現指導に対しての経験は、表現素材や教育環境、年代など多岐にわたります。本学ではその実務経験の話を交えつつ、教職についての実践的な対応を含め、美術教育の流れや各世代の表現へのつながり、表現内容等、美術教育指導に関わる講義をしています。

しかしながら、私自身の実際の研究活動は、黒御影石を中心とした立体作品の制作をして、個展、グループ展等で作品の発表活動を続けている彫刻の作家です。作家として作品制作や発表活動、創作を続けていく中で、私自身が感じている表現することの楽しさを伝えられるように、現在も教育の現場で美術の表現指導に関わっています。

また、彫刻家として石という素材に関わりを持ち、作品を制作するようになって長い時間が流れ、思うような形にならないことも多いですが、素材として石自体が持っている硬い、冷たい、重い等の圧倒的な存在感に負けることなく、いまだに作品制作が続いているのは、石から感じる感触や表情のおもしろさだけではなく、自然と向き合い、形を作り出していくためにかかわる長い時間や、その時間の中で試行錯誤をしながら石と対話するような、創造し表現することへの楽しさなのかと感じるようになってきました。少しずつ石の中から自分の考えた形が現れてくる時は、時間を忘れて取り組むこともあります。ただし、重労働です。

学生になり、実習で石を触るまで、素材としての石というものには、生活の中で縁があまりありませんでしたが、道具作りから始まり、いざ石を彫ることになると、自分の思うようにはいかず、形を彫ることもままならず、石に跳ね返されることが多かったことを思い出します。石の目を読み上手くノミを当て石頭を振ると、きれいに石が剥がれる。そんな石とのやりとりの中での抵抗感と、割れるときの爽快感を、学生の時と同じようにいまでも感じることがあります。しかし、実際に石の塊から形を作り、磨き、作品を仕上げていくまでには、そんな楽しさなどを感じている余裕はなくなってきます。ただただ自分と向き合い、石と向き合うという時間になっていくことがしばしばです。時間と体力の必要な、とても人には見せられないほこりだらけの制作現場、屋外での作業が中心になるので、夏の暑さ、冬の寒さをダイレクトに身体に感じるアトリエでの制作となります。

今回、このブログと同時期に、京橋にある「Cross View Arts (クロスビューアーツ)」というギャラリーで2月3日(月)から15日(土)まで、個展を2週間させていただいていました。ギャラリーの空間を使用して、目に見えない時の流れをイメージした風や空気感をテーマに、空間の中につながりや動きを感じ、会場の中を一つの流れのあるものとしてまとめた展覧会にしてみました。また、自然の中に存在する人と、文化文明との対比をする中でのつながりを考え、作品を一つ一つとして鑑賞するだけではなく、展示会場全体が一つの作品として感じられるような配置の展示となっています。


暑さ寒さに耐え、石と格闘している姿はどこにも感じられない滑らかな、動きのある個々の作品を鑑賞するとともに、流れの方向性をイメージし、自然の素材から感じられる表情の豊かさと、空間の奥行きを感じ取ってもらえればと考えました。

「相澤久徳展」

リレー連載「日本庭園の中のサウンドインスタレーション」

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