芸術学部 基礎教育

リレー連載「国の中の国?」

*この記事は松中義大基礎教育教授が執筆しました。

今年度担当している科目の一つに「英語II」があります。この科目は、何人かの先生が担当していますが、私が担当しているクラスでは、イギリスの各地についての文章と映像を通して英語を学ぶ教科書を使用しています。春にロンドンからスタートした旅は、最近スコットランドのエディンバラまでやってきました。後期の終わりまでに北アイルランドとウェールズまで扱う予定です。

さて、先日終了したラグビーのワールドカップでも、スコットランドやウェールズのチームが出場していました。イギリスからはこの2チームの他にもイングランドが出場していましたし、日本が対戦したアイルランドのチームにはイギリスの北アイルランドの選手も含まれていました。つまり、イギリスという1つの国でありながら、その中から4つのチームがあたかも4つの別の国の代表であるかのように参加していたわけです。イギリスの正式名称の一つとして United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland というものがあります。つまり「連合王国」であり、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドの「連合」によって成立している国家、とも言えます。このため、各地方には日本の都道府県の行政単位以上に分権が進んでいます。また、ラグビーやサッカー、クリケットなど、イギリスが発祥とされる(または近代化された)スポーツでは、国別対抗戦の場合イギリスとして一つのチームを作るよりは別々にチームを構成することがよくあります。また、最近イギリスを揺るがせている Brexit問題(EUからの離脱問題)でも、中央政府の離脱の意向に反発してスコットランドではイギリスからの分離独立を唱える動きが現れるなど、まさに一つの国の中にもう一つ国が存在しているかのようです。

また、イギリスの国旗 Union Jack は以下のような構成となっています。

1段目左がイングランドの旗、右がスコットランドの旗です。この二つの旗を合わせて作られたのが2段目左の初代 Union Jack(1603年制定)です。そして、19世紀初めにイギリスがアイルランド(2段目右の旗)を併合したことにより3段目の現行の Union Jackが成立しました(アイルランドはその後20世紀初めに分離独立。北アイルランドのみがイギリスに残りました)。このように、一つの国旗の中に複数の旗の要素が組み合わされているのも興味深いですね。(ウェールズの旗が含まれないのはなぜ?調べてみてください)

こうした背景から、各地方では独自の文化に強い誇りを持っています。また、スコットランドやウェールズでは英語とは別にそれぞれゲール語、ウェールズ語を公用語に制定したり学校教育で取り扱って保護するなどの政策も行われています。また、同じ英語でも、方言による差がとても大きく、日本の学校で学んでいる英語とはだいぶ発音が異なります。

https://www.youtube.com/watch?v=UGRcJQ9tMbY

リンク先の動画は、アメリカの Saturday Night Live というバラエティ番組で放映されたコントです。アメリカから飛んできた飛行機が乱気流に巻き込まれて操縦士が倒れてしまい、アメリカ人の乗客が操縦桿を握っています。スコットランド上空でスコットランドの管制官に指示を仰ぎますが、スコットランド訛りの強い英語で何を言っているかわかりません。。(動画の最後は、そうこうするうち飛行機はウェールズ上空に移動し、ウェールズの管制官はさらに訛りが強くて分からなくなってしまう、という「オチ」になっています)動画の中で、アメリカ人が “Your accent is very thick(訛りがとても「厚い」)”と言っています。訛りというものが周りを覆っている分厚い毛布のように喩えられているのが興味深いです。YouTube は英語の場合自動で字幕を生成することができるのですが、この訛りは手に負えないようで正確に文字化できていません。

首都ロンドンから飛行機で1時間半もかからない距離しか離れていないのにこれだけ地方差が生じるのは、それだけ言語としての歴史の長さを反映していると言えるでしょう。日本語の場合でも、この狭い島国でも方言の差が南北でかなり大きいのはやはり長い歴史をもつ言語だからかもしれません。アメリカの方が東西の距離が桁外れに長いのにも関わらずここまでの差が生じていないのは、相対的に歴史の浅さが理由なのでしょう。

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