*この記事は石川健次 基礎教育教授が執筆しました。
寓話や農村の暮らしを描いて日本でも人気のピーテル・ブリューゲル1世の傑作≪バベルの塔≫に同居する大胆と緻密に感嘆し(7月2日まで東京都美術館、7月18日から10月15日まで大阪市の国立国際美術館)、伊藤若冲より200年前に活躍し、元祖〝奇想の画家〟と謳われる雪村周継(せっそん・しゅうけい)のまさに奇想天外な魅力に振り回され(東京展は終了、8月1日から9月3日まで滋賀県のMIHO MUSEUM)、現代アートの最先端を疾駆する草間彌生のエネルギッシュな軌跡に目眩を覚える(終了)――。この春も展覧会は花盛りです。
そして今、最も楽しみにしている展覧会、というかアートイベントが、6月3日から7月2日まで長野県木曽郡木曽町・上松町を舞台に初めて開催される「木曽アートフェスティバル 木曽ペインティングス」です。かつて中山道の宿場町として多くの旅人が集った木曽の魅力を再発見し、都心では生まれない独自のアートとの出会いを願って、地元など国内のアーティストが木曽という場所にインスピレーションを得て、あるいはそこで滞在して制作した多彩な作品が展示されます。この小稿を書いている今はまだ展示準備中ですが、活躍中のアーティストが多く出品するとあって開幕初日にさっそく訪れるつもりでいます。
参加アーティストのひとりで同イベントを主催する木曽ペインティングス実行委員会委員長の岩熊力也さんに進捗状況を問い合わせたら、「快調」という返事とともに展示作業が終わった作品の写真が何枚か送られてきました。掲載したのは、そのなかの一枚で岩熊さんの作品≪道≫です。横10m、縦4mに及ぶ絵画によるインスタレーション作品の大作です。私もこの写真でしか見ていないのではっきりとは言えませんが、絵の前でいくつもの炎が揺れているように見えます。岩熊さんに問い合わせてみようかとも思いましたが、やめました。なるべく先入観を持たず、作品に出合いたいと思っています。
会期中、ワークショップやバザール、トークショーなどさまざまな企画も用意されているようです。「木曽アートフェスティバル 木曽ペインティングス」に関する詳細は、「木曽ペインティングス」で検索を!