芸術学部 基礎教育

2015年度リレー連載 第6回「9月の話: 芸術の秋」

石川健次(教授/近現代美術史、美術批評)

9月になりました。9月と言えば、もう秋。そう、〝芸術の秋〟の到来です。毎年この時期には、美術館や画廊などで普段にもまして多彩な展覧会が開かれます。私も普段以上に多くの展覧会を見て歩くことになるほか、自身で展覧会を企画したり、あるいは展覧会に寄せてコメントを書いたり、寄稿する機会が、他の時期よりも増えるような気がします。

今秋は、私が企画した展覧会としては、たとえば「第2回飛の会」展が9月7日(月)から19日(土)まで、東京都中央区日本橋本町4-7-1、三恵日本橋ビル1階の「KAMIYA ART」で開催されます。日本画、油彩画を問わず、若手を中心に新鋭、中堅の画家12人が集う絵画のグループ展です。今回は特に「墨」をテーマに取り上げ、全員が墨を素材に作品を制作します。

いわゆる水墨画ですが、時は21世紀です。雪舟に代表される伝統的なイメージばかりを思い浮かべてはならないでしょう。抽象はもちろん、キャラのたつマンガ風な表現など、さまざまな出会いがあるはずです。普段から下絵などに墨を使い慣れている日本画家はともかく、初めて墨の絵に挑戦するという油彩画家もいます。この小稿を書いている今はまだ完成した出品作を見ていませんが、共通のテーマにそれぞれがどうチャレンジし、どんな異質な作品が生まれるのか、他ならぬ私自身がワクワクしています。

図録に出品作家の紹介や展覧会の開催意義などに触れたテキストを寄稿した展覧会としては、やや先ですが、11月10日(火)から同19日(木)まで開催される「日本×イタリア現代美術展2015」があります。日本から16人、イタリアからは7人が参加するこの展覧会は、イタリアとの交換展のかたちで開かれ、イタリアではすでに今年6月中旬にミラノで開催されて好評を博しました。今回は、いわばその凱旋展でもあるでしょう。

日本での会場は、東京都豊島区西池袋2-31-6の「B-ギャラリー」です。池袋駅から歩いて約5分、フランク・ロイド・ライトが設計した重要文化財の「自由学園明日館」の西隣にあります。イタリアからは版画家で国立ブレラ美術大学教授のロベルト・カシラーギや日本での個展歴も豊富なエミリオ・バラッコ、やはり日本での展覧会に参加経験のあるジュゼッペ・ポリスカらイタリア美術界の重鎮らが出品し、展覧会に合わせて来日もすると聞いています。

迎える日本側は、自らデザインし、制作したクッションを撮影し、ロクタと呼ばれるネパール特有の紙に転写するユニークな作品で知られる長はるこをはじめ、小林功於や武田史子、武田律子ら数々の国際展で受賞を重ねるなど実績を積んだベテラン、中堅が中心です。図版に挙げた作品は、長はるこの出品作です。

長はるこ ≪ B-cushion grade #13 ≫ 自作布オブジェをネパール紙にピエゾグラフ

ベテラン、中堅が中心とは書きましたが、新鋭の参加も少なくありません。卓越した描写力で樹木や多種多様な生きものが混在する濃密な空間を創出する山田彩加やファンタジーあふれる横山麻衣、虚実判別不明な迷宮に踏み込む不破亜亜都など、まさに清新な魅力に満ちています。そうそう、夢中で遊んだ幼少の頃を原風景に創作する根岸一成のナラティヴ(物語的)な作品世界も見逃せないでしょう。

近くにお越しの際は、会場をぜひ訪れてみてください。私も今秋、さまざまなアートとの出会いに浸りたいと思います。

図書館のリニューアルが進んでいます

「第2回 飛の会」

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