「英語にも方言はありますか」という学生さんの質問からスタートした話題ですが、用語的に正確さを出すために「言語のバラエティ」というタイトルに変えますね。バラエティというと、テレビのバラエティ番組が思い浮かぶと思いますが、この場合は「多様性」「種類」という意味で使っています。日本語の専門用語では「言語変種」と言いますが、ちょっと硬い感じがするので、言語のバラエティと言います。
さて、前回は、日本語の標準語はどこのことばがもとになっていますかという質問で終わりました。
こたえは簡単ですね。「東京」です。ただ、言語学の観点からみると、ちょっとそれでは物足りない答えになります。東京にも威勢のいい下町ことばから上品な言い方など、いろいろなことばがあります。時代劇ではみな標準語を話していますが、実際、いろいろな地方から人が集まっていたので、江戸が東京になったあとでも、日本中のことばが入り乱れていたのではないかと想像をかきたてます。
いろいろ調べてみると、どうも標準語のもとになったのは、明治期の書生さんの言葉と言われています。書生さんというのは簡単に言うと男子大学生のことです。当時、大学に行ける人は一握りで、卒業生がそのまま政治家や役人になったであろうことを考えると、イギリスのパブリックスクールでのことばがイギリスの標準英語になったことと似ていますね。
(つづく)