アニメーション学科

学外授業「演出Ⅱ」

アニメーション学科の授業の中には、アニメーション作品を作るための様々な分野について学ぶ科目がありますが、「演出」もその一つ。受験生の多くは「人を感動させることが出来る作品を作りたい」と志してアニメーション学科にやってきますが、さて、それはどうやったら出来るのか?
「演出」の授業は、まさにそれを学ぶための授業です。

3年に上がると「演出」の授業内容もレベルアップします。毎週中野キャンパスのマイブリッジ・シアターで、2本の映画を観て学びます。ほぼ全てが実写映画です。前回観た内の1本は「洲崎パラダイス 赤信号」(昭和31年、川島雄三監督作品)でした。そして14日の土曜日、この「洲崎パラダイス 赤信号」の舞台をめぐるツアーが行われました。今から60年前に撮られた映画の、そこに登場する60年前の東京の姿を求めて歩くツアーです。正規の授業の一部では無いので自由参加でしたが、多くの学生が参加しました。

kachidokibashiまず映画の最初と最後に登場する勝ち鬨橋です。橋は60年前と全く変わっていません。川島監督の映画では、舞台となる都市自体も重要なキャラクターのように扱われますが、今回のツアーでも、この映画の中で描かれている東京という舞台の方向感覚や、それぞれの町の上方下方のイメージを摑むことが目的です。映画の冒頭とラストで、主人公二人が乗ったバスの方向が逆であり、それぞれのバスが東京のどの方向へ向かって走るバスであったかを、ここで確認できました。

kachidokibashi橋の袂にある「かちどき橋の資料館」は映画の中にもしっかり写っていて、この建物が60年前にも同じ場所に存在していたことが分かります。ここで、昭和15年に完成した当時東洋一と謳われた跳ね橋「勝ち鬨橋」の歴史についても学びました。

Suzakibashi映画の中で、最も重要な舞台となった洲崎橋の下です。今や洲崎川は埋め立てられて、影も形もありません。しかし主人公の二人が身を寄せた一杯飲み屋「千草」の周辺の佇まいだけ、タイムカプセルで残ったように、60年前の雰囲気が残っているのが嬉しいところ。その辺りの二階の窓から今にも蔦枝が顔を出し、「旦那!」と手を振るような気がします。

Suzakibashiかつてここにかかっていた洲崎橋に付いていた、橋の名前を表すプレートです。この橋の欄干から、芦川いづみさん演じる玉ちゃんが、川面を流れていくおもちゃの刀(何とも言えない切ないシーンです)を見つめていた辺りです。この橋を渡った先は「パラダイス」と称する夜の街でした。今やその面影は殆ど残っていません。

Suzakibenten「千草」のおかみさんの亭主が刺されて死んだ、その犯行現場はこの辺り。ということで現場検証(?)です。タブレットに納めた映画の各シーンを見直しながら、60年前のカメラ位置を探っていきます。

Edobashi主人公の一人、義治が行き倒れたところを道路工事の人に助けられるシーンに登場する江戸橋です。東京は、本当に橋の多い街です。そして、橋というのはそう頻繁に変わるものではない上に、橋の欄干のデザインというのは案外個性的なものなので、60年前の映画に写っているものがそのまま存在するのが面白い。ただ残念なのは、真上を首都高速が走るようになって、すっかり景観が変わってしまっていることです。

MItsukoshi当時とはすっかり景観の変わってしまった江戸橋からは、映画のように日本橋三越本館の屋上の尖塔は見えません。その代わり、新館の丸い高層の部分はよく見えます。この日はかつてのランドマークだった本館の尖塔を目指して、エレベーターで屋上まで上って見に行きました。

Akihabaraこの日のツアーの最終地点は秋葉原。映画ではゲリラ撮影だったという、義治がラジオ屋の落合を捜して彷徨うシーンが撮影されたラジオ会館前です。ラジオ会館自体がそのままなだけでなく、なんと!60年前と同じ店が同じ場所にあります。最新の技術と流行の街秋葉原ですが、その一部に60年前と全く変わらない風景を見て、感激の一日でした。

学外授業「ピクサー展」

領域研究:和田敏克さん

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