*この記事は小川真人基礎教育教授が執筆しました。
相澤先生の御作品を含むグループ展に先月お邪魔しました。
先月「銀座第7ビルギャラリー」にて開催の『「かたちと表情」選抜6人展』では、招待作家として基礎教育の相澤久徳先生とともに、KAZUKO、澤田志功、篠木玲子、長谷川登、浜田修子の彫刻作家が近作を発表されました(主催:ケン・プロダクツ株式会社)。それぞれに表情を感じさせる彫刻アートを観照することができました。
相澤先生のお仕事としましては【図版1】の作品がまず目をひかれました。
こちらには「閉じられた時」という題名が与えられています。光沢のある外側にたいして、きめ細かい肌合いの処理を施された内側の、人物像を連想させる造形が存在するという対比が、かたちに受肉する表情の味わいを明瞭にしています。
相澤先生のお仕事としましてはもう一つ【図版2】を拝見しました。
人物像を連想させる大理石のかたちが、反りのある台座のうえにあります。こちらには「ゆれる」というタイトルが添えられています。彫刻芸術は、多くの場合、安定と静止が印象付けられることが多いかもしれませんが、ここではむしろゆれや動きを表情にとりこんでいる点で興味深いものでした。揺れる地面のうえでこの人物は何を思うのでしょう。以前見させていただいた相澤先生の作品「時風を歩く」のことを思い起こしながら、「ゆれ」や「風」などといった動きや時間性の要素が、独特の生命感を彫刻芸術に賦与する表現のあり方についてなど、あれこれ考えたりしました次第です。