*この記事は、大島武基礎教育教授が執筆しました。
3月リレー連載担当の大島武です。
先月開催された日本ビジネス実務学会第46回関東・東北ブロック研究会で以下のテーマの発表を行いました。「技術革新に伴うビジネス環境の変化に関する考察-AI技術を中心に-」
現在は、第三次AI(人工知能)ブームと言われています。
自動運転、チェスの世界一、オッケーグーグル、ワトソン、東ロボくん ・・・日々AIに関連する話題には事欠きません。中でもM.オズホーンらと野村総合研究所が2015年に発表した「国内601種の職業がAIやロボット等に代替される確率の試算結果」は社会に大きなインパクトを与えました。
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf
今回の発表では、人工知能の技術的発展について概観し、先行研究を踏まえて「AIに代替されにくい仕事の特徴に関する試論」を提示しました。今後のビジネス実務研究の一つの方向性を提示する意図があり、この流れを私が実行委員長務める第38回全国大会(2019年6月1日・2日開催、於:目白大学短期大学部)につなげていきたいと思っています。
私の発表は過去の研究結果のレビューと問題提起に留まりましたが、同日の基調講演で紹介されたAI優先度診断サービス「PRaiO」は具体的なアプリケーションの事例として大変興味深いものでした。企業が採用活動を行う際にチェックするエントリーシート。過去の合格者の記述を教師データとしてAIにその優劣を判定させる。このような技術がすでに実用化されつつあるのです。
https://www.mri.co.jp/news/press/public_office/028291.html
私たちの身近に確かにあるはずなのだけど、その実態がよく分からない。そんな蜃気楼のようなAIについて、私は今後、以下のスタンスで向き合いたいと考えています。
①AI技術による仕事の代替については、自分はもう55歳だし、何とか逃げ切れるだろう。(楽観)
②研究対象として考えると、数学者でもない自分がAIの本質に迫ることは到底無理だろう。(諦め)
③それでもAIが人間の働き方に与える影響については、今後もビジネス実務の視点から注視・分析し、学生たちにピント外れでないアドバイスができるようにはしたい。(目標)
最後に、昨年発刊された一般書で、お奨めの参考文献を3冊紹介して結びます。
松本 健太郎著『AIは人間の仕事を奪うのか?』2018 C&R研究所
新井 紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』2018 東洋経済
スコット・ギャロウェイ著『GAFA 四騎士が創り変えた世界』2018 東洋経済