芸術学部 基礎教育

リレー連載・教員インタビュー4

今年度のリレー連載は、インタビュー形式で基礎教育の専任教員をご紹介していきます。基礎教育の教員プロフィールは

https://www.t-kougei.ac.jp/gakubu/arts/liberal/staff/

に掲載されていますが、それ以外に色々と掘り下げていきたいと思います。ブログ担当者の怠慢で7月の記事公開が遅くなりました。申し訳ありません。

大森弦史准教授に原稿をお寄せいただきました。


Q:研究分野について教えてください。

私の専門分野は西洋美術史、なかでも19世紀イギリス・フランスの版画・諷刺画を中心に研究しています。いま注力しているテーマは、ジョージ・バクスター(George Baxter, 1804-1867)[図1]というヴィクトリア朝イギリスの版画家であり、彼が考案した特殊な色彩版画技法である「バクスター法」について考察を進めています。

図1:バクスターの肖像写真

Q:そのテーマを研究していて面白いところはなんですか?

バクスターにかんしては世界的にも研究がほとんど進んでおらず、日本ではその存在すらまったく知られていません。しかしバクスター法で刷られた濃密で豊かな色彩表現には、他の版画技法とは一線を画した独特の美しさがあります[図2]。見過ごされてきた作家や作品を再評価することは、その時代の美術・芸術の全体像を見直すことにも繋がりますので非常にやりがいがあります。

図2:バクスター《万国博覧会の至宝3》1852年、東京工芸大学所蔵

Q:おすすめの展覧会を紹介してください。

2023年7月現在、コロナ禍の影響も一服し、魅力的な展覧会が数多く開催(または開催が予定)されています。そのなかから2つ紹介します。

◯「テート美術館展 光」(国際新美術館、2023/07/12〜10/02)

(公式HP)https://tate2023.exhn.jp/

光の表情を切り口として、18世紀末から現代までの良作がイギリスのテートからやってきます。見どころはやはり、ターナーとカンスタブルを筆頭とする近代英国風景画の系譜でしょう。

◯「キュビスム展―美の革命」展(国立西洋美術館、2023/10/03〜2024/01/28)

(公式HP)https://cubisme.exhn.jp/

20世紀初頭の革命的な美術運動であるキュビスムについて、パリのポンピドゥーセンターのコレクションを通して概観できます。日本でキュビスムを大々的に扱った展覧会は実に50年ぶりだそうで、個人的にもすごく楽しみです。

Q:大学生の頃はどんな学生でしたか? 最も力を入れていたこと(思い出深いこと)は何ですか?

東京藝術大学で学部〜博士課程までの9年間、学生をしていました。時代なのか校風なのか、学生はほぼ放し飼いだったため、かなり好き勝手に大学生活を満喫していました。そんななかで最も力を入れていたことといわれても「これ!」といったものは思いつかないのですが…結果的には「インプットをたくさんしたこと」でしょうか。読書・映画・展覧会などなど、ジャンル問わず思う存分味わうことができたのは、まとまった自由な時間があったからこそですし、それがいまの仕事にもかなり活きていると思います。

Q:東京工芸大学の良いところを一つ挙げてください。

大学全体というより芸術学部にかんしてのことになりますが、「適度なユルさ」があるところだと思います。芸術教育には(物事にゆとりや隙間をもたせる、という意味での)「あそび」が不可欠、というのが私の持論です。工芸大のカリキュラムや教育環境はガチガチすぎでもありませんし、かといって私の学生時代のようにユルユルすぎでもない、何かを創造するにはちょうどよいバランスにあると感じています。


 

リレー連載・教員インタビュー3

彫刻展『空』

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