芸術学部 基礎教育

リレー連載「ウサギのポール」

*この記事は石川健次・基礎教育教授が執筆しました。

ウサギと暮らすようになって久しいけれど、今年3月に新しい家族となったウサギは先輩ウサギの何倍も食欲がある。図版(筆者撮影)に挙げたウサギだ。名前はポール。

とりわけレタスが好きで、何枚かちぎってあげるとあっという間に食べてしまう。あげてからトイレに行って戻ってみると、もうなくなっているというくらいに旺盛だ。もう少しゆっくり噛んで、よく味わって食べればいいものを、と思いつつ、食べ過ぎもよくないとあげ過ぎには気をつけている。

そういう私はミニトマトが好きで、最近、ベランダでミニトマトの栽培を始めた。ウサギのごはん代も馬鹿にならないし、せめて私が自分で食べる分は自分で育てようと思ったのも栽培を始めた理由だ。5月中旬の現在、緑色の小さな粒がいくつも実っている。陽を受けて輝く小粒が食欲を誘う。収穫が楽しみだ。

そんな折、100億円のウサギの話題に目が釘付けになった。現代アートの異才、アメリカのジェフ・クーンズが1986年に制作した≪ラビット(ウサギ)≫という作品が、オークションで現存作家による作品としては史上最高額となる約100億円で落札されたというのだ。ニュースに触れ、興味を持った方は多いだろう。

高さ約1メートルのステンレス製のこのウサギ、かわいいと思うかどうかは見る人にもよるだろう。ウサギ好きの私としては関心を抱かないわけにはいかないが、個人的には同じ作家の作品では何年か前に東京・六本木の森美術館で開催された「LOVE展 アートにみる愛のかたち」に並んだ≪聖なるハート≫が忘れられない。

巨大なハート型チョコを金色の包装紙でくるんだ高さ4メートル近い立体作品だ。チョコも何も本物ではもちろんなく、やはりステンレス製だったと思う。ハッピーがいっぱい詰まったこんなチョコをバレンタインデーに贈られたら、あるいは贈ったら、と考えるとワクワクしてくる。

ウサギの話に戻ろう。100億円のウサギは、いったい誰の手に渡るのだろう。アートに関心があるのは言うまでもないだろう。でも何よりウサギ好きな人だったらいいなと思う。遠く桁違いの話に少々の切なさを覚えつつ、そんなふうに願う。

 

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