芸術学部 基礎教育

リレー連載11月号:「さまざまな授業」

*この記事は髙木聖 基礎教育教授が執筆しました。

芸術学部基礎教育の髙木です。

東京工芸大学では「日本語表現法B」・「社会学概論」・「経済学概論」(以上厚木キャンパス)、「マーケッティング論」(中野キャンパス)を担当しています。これだけでも異常に広い分野を担当しているように思われましょうが、実は他の大学でこれ以外の分野で授業をお引き受けしており、1週間のうち一定の時間を割いておりますので、今回はその一部を取り上げ、「私の日常」のご紹介とします。

横浜市にあるA大学工学部経営工学科では「実験・実習Ⅰ」(前期)・「同Ⅱ」(後期)をお引き受けしています。この科目は新学期に全員で一斉にガイダンスを受けた後、7~8人からなるグループに分かれ、1~2回ずつ異なるテーマの授業をローテーションしながら受講していくものです。「製品制作製図」、「機械工作演習」、「品質管理」などそのテーマは多岐にわたっています。

それぞれの授業に臨むには「前レポート(事前学習)」の持参が義務づけられ、授業後には翌週を締切とする「レポート」の提出が求められます。一定の基準に満たない提出物は「再提出」が義務づけられ、正当な理由のない欠席があると即座に不合格となる「3年次の必修科目」です。学生諸君の負担は尋常ではありませんが、少人数の班編成で1年間過ごしますとグループ内で助け合うなど、知識や技能以外の面でも得るところがあるようでほとんど落伍者はいません。

私が担当しているのは会社の決算にあたって作成する財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の基本構成とその読み方を前期に修得し、財務分析の基本を後期に学ぶというものです。他のテーマと異なり、2グループ合同で作業や実験もないため、最初は退屈そうに聞いていますが、間近に迫った就職活動に向けて役に立ちそうに感じると反応も違ってくるようです。学生時代、「会計学」関係はじんましんがでるほど嫌いで可能な限り履修すら避けていましたので、そういう学生を念頭に置いて「いまはつまらなくても、いずれ経営判断を求められる立場においては必ず求められる」重要性を訴えています。

【写真1】 A大学の使用教室は会議形式のレイアウト

他方、世田谷区にあるB大学商学部では「外国書講読Ⅰ英」という科目を拝命しています。「語学を学ぶ外国語科目」ではなく「外国語で書かれた文献や資料を用いて専門領域を学ぶ外国語専門科目」という位置づけです。1~2年次で選択した第二外国語(ドイツ語、フランス語、中国語、スペイン語)にも同様の科目が用意されています。25~30人程度で1クラスを構成しますが、そこには3学科(商業・経営・会計)の学生が混在しているため、各学科のカリキュラムを考慮しながら、基本的な補足をその都度心がけています。

奇しくもこの科目も3年次の必修科目となっており、さらに通年科目でもあるため相当な負担となっているようです。4年次生の再履修者も決して少なくありません。「卒業のかかった通年の必修科目」がもたらす緊張感は尋常なものではないようです。また、授業の性格上出席が重視されるため、欠席した場合の届出等は所属団体(クラブ)やゼミ等から十分な指導を受けている模様です。就職活動や忌引等は一般的ですが、スポーツがさかんなようで「関東◯◯選手権大会に参加」、「全日本学生選抜オーストラリア合宿」などさまざまな「欠席届」を受け取ることがあります。本当に英語の実力がある学生には非常に頼りない指導教員ですが、「ゆっくり進める=試験範囲を拡大しない」「重要項目はくりかえし強調する=ポイントの明示」により多数派の支持を得るようにしています。またいかなる進路に向かうにしてもいつか必ず必要になるであろうビジネスの知識を補足するよう向き合っています。

【写真2】 B大学の使用教室は講義形式のレイアウト

非常勤講師として他大学で授業をするとさまざまな分野の学生と出会う機会が与えられます。東京工芸大学では芸術学部と工学部に限られますが、これまでそれ以外に文学部、外国語学部、国際交流学部、音楽学部、法学部、経済学部などさまざまな大学でいろいろな専攻の学生に接することができました。学生にとっては専任・非常勤の区別はないことをふまえ、それぞれの授業をしている学校の沿革や理念を調べ、今年が創立何年目かも授業中折に触れて取り上げるようにしています。もちろん講師控室等における先生方との交流や情報交換も貴重な機会となっています。

ご依頼を受けた授業はそれぞれ領域、内容、形式、受講する学生の専門分野など、いずれも異なっているため当初は準備だけで相当なプレッシャーとなります。「それは自分の専門ではないから」としてお断りすることも可能ですが、私のようなものにお声をおかけになるからには先方様にも相当な事情がおありかと心得ます。お引き受けすることで自分にも新たな世界が広がり、ご縁をいっそう強固にしているようです。自分の可能性を他人様が認め、プロとして任せてみよう、とのご判断をどうして自ら狭める必要がございましょうか。後進の諸君にも参考になれば幸いです。

また、そうした授業の準備をしている時期が実は最も楽しいといえます。何年か継続していると慣れてくることは否めませんが、「経験は、人生を狭くする」(金子光晴)という言葉を戒めとして、初めて授業に臨んだ日のことを忘れず常に努力を続けていきたいと存じます。

来月は鈴木万里先生がご担当になります。どうぞお楽しみに。

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