*この記事は、牟田淳 基礎教育准教授が執筆しました。
今月は5月の話題ということで、南十字星の話をしましょう。
皆さんは「南十字星」を見たことがありますか?
工芸大で「アートと物理」を履修している人は授業で学んだので覚えている人も多いと思いますが、南十字星(サウザンクロス)は宮沢賢治の名作、「銀河鉄道の夜」に出てくる有名な星座です。南十字星は東京では見ることはできませんが、南の国に行くと見ることができます。例えばオーストラリアのエアーズロックなどでは大変綺麗な南十字星を見ることができます。
この南十字星、オーストラリアやニュージーランドなど南半球の国ではとてもよく見ることができます。そのためもあってか、オーストラリアやニュージーランドではなんと国旗にも南十字星が描かれています。それくらい有名な星座なのです。
リンク先 外務者 国・地域 オーストラリア連邦、ニュージーランド
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/australia/
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nz/
さて、この南十字星、わざわざ南半球の国まで行かなくても北半球でも見ることができます。例えば日本からすぐ近くにあるサイパン、グアム島などでも南十字星を見ることができます。ただし、南十字星は空の低いところに出て、しかもすぐに沈んでしまいます。
サイパン、グアムで見られる南十字星が最も空の高い位置に見える時刻は
2月上旬 4時
3月上旬 2時
4月上旬 0時
5月上旬 22時
6月上旬 20時
7月上旬 18時
です。そのため、5月頃は夜更かしせずとも空が真っ暗になった22時頃に綺麗な南十字星が見れるのです。つまり、5月はグアム、サイパンで南十字星を見るのに絶好の月なのです。牟田は5月にサイパン、グアムよりも暗い夜空で南十字星を眺めるため、2008年のゴールデンウィークにグアム、サイパンの中間にある夜空がとてもきれいなロタ島に南十字星を見に行きました。そして写真のように本当に南十字星を見ることができました。珍しかったためか、牟田がロタで撮影した南十字星の写真はBS日テレでも放映されました(「世界探訪!空港物語 ~WONDER AIRPORTやしま・ミチコの空辞苑」テニアン国際空港・ロタ国際空港,2012年)。
工芸大の学生のみなさんにはロタ島で見える南十字星の詳細は授業「アートと物理」で紹介しました。授業をとっていない人は書籍「宇宙と物理をめぐる十二の授業」(牟田淳著、オーム社、2010)に詳しい説明が書かれていますのでよろしければ参考にしてください。
実はサイパンやグアム、ロタまで行かなくても、日本国内の沖縄でも水平線ぎりぎりのところで南十字星を見ることができます。牟田は今年の4月18-19日の週末の新月を狙って沖縄に南十字星を見に行きました。が、残念ながら雨が降ってしまいました。そこで5月中旬の週末に再び沖縄で南十字星を見るために沖縄に行きます。運よく晴れて南十字星を見れたら写真に撮って授業で報告します。学生のみなさん、沖縄の南十字星お楽しみに。