芸術学部 基礎教育

2014年度リレー連載 第9回「電子書籍を英語学習に」

基礎教育助教 橘野実子

今月の「私のおススメ」は電子書籍を利用した英語学習についてです。

この記事をお読みの皆様は、電子書籍を利用していますか?電子書籍ってそもそも何だろうと思われるかもしれませんが、広い意味の電子書籍は、電子データを専用端末(電子書籍リーダー)やタブレット、スマートフォン、携帯電話、パソコンなどで読むタイプの書籍です。amazonのkindleストアや楽天kobo電子書籍ストアで購入するような書籍がその代表ですが、LINEマンガや、少し前に流行した携帯小説なども電子書籍と考えることができます。「それなら、少しは触れたことがある」という人もかなりいるでしょうが、日常的に便利に読んでいる人はまだ少数派のようです。

そこで今回は、新しいメディアである電子書籍を英語学習に利用する方法をご紹介します。

電子書籍先進国と言えば英語圏ですから、洋書の電子書籍のコンテンツは非常に充実していて、これを英語の勉強に使わない手はありません。まずは、amazonのアメリカやイギリスのサイトをのぞいてみてください。ベストセラー本だけなく、非常に多くの書籍が電子書籍として販売されていることに驚くことでしょう。和書だったら絶対に電子出版されないような研究書までkindleストアで販売されています。これらのkindle書籍の多くは日本のkindle ストアでも購入できますし、手元に届くまでに時間もかからず、紙の本よりも通常安価ですので、買いやすい洋書というわけです。

そんな洋書の電子書籍の購入は、各種電子書籍ストアでできますが、ここではPC版の日本向けアプリが出て話題になっているamazonのkindleストアを見ていきましょう。

まずは、日本のamazonのトップページからkindleストアに進んでください。ここから検索ができますが、例えばオックスフォードの多読本を読みたい場合、oxford bookwormsと入力すると、bookwormsシリーズのkindle書籍(電子書籍)を探すことができます。ここでは、比較的易しい本(stage 1)の中から、“Goodbye, Mr. Hollywood”という本を見てみましょう。

amazonでは紙の本もkindleもどちらも購入できますので、用途に応じて(もしくは好みによって)選べばいいのですが、通常電子書籍のほうが紙の本よりも安価ですので、その点でも購入しやすいかもしれません。この本はkindleだと709円で、購入ボタンを押すとすぐに購入できます。

前述のように購入した電子書籍はスマートフォンでもタブレットでもPCでも読むことができますが、ここではPCで読んでみましょう。amazonのサイトからkindle for PCというアプリをダウンロードしてログインすると、購入した書籍が表示されます。

上が表紙の画像ですが、左側には表紙、目次、初めに戻る、次のページまたは位置No. に移動、というメニューがでていて、ここから読みたい部分を選んだり、目次を参照したりすることができます。

これが目次で、ここから読みたい章に飛ぶことができます。また、目次や本文中にわからない単語が出てきた時には、その語の意味を辞書機能を使って検索することができます。ここではintroductionの意味を検索しています。ただし私がお勧めしている「多読」という方法では基本的には辞書をひかずに読みますので、この辞書機能を多用することは勧められません。まずは辞書なしで読み進み、どうしてもわからない語については、後から調べてみることが読みが上達するコツです。

さて、本文はこんな感じです。紙の本と同じように、挿絵も適宜挿入されています。

文字の大きさは自由に変更することができ、画面の形式もこの画像のように横に広がった幅広の形で読むこともできますし、紙の本のように見開き2ページという形でも読めます。スマートフォンだと基本的に一度に1ページですから、パソコンの大きな画面を利用したメリットでしょう。

このレベルの本だと多くの人は15分以内に読み終われますが、もっと長い本、難しい本の場合は、一度に読めないことも出てくるでしょう。そんな時にはブックマーク(しおり)機能を使って、次回はブックマークの部分から再開できます。またハイライトやメモもできますので、大事なところをハイライトで強調したり、メモをしておくのもいいでしょう。さらに、いくつかの端末を使っている場合には、ブックマークやメモ、ハイライトなども同期されますので、どの端末を使っても同じように使えます。

このような電子書籍を英語学習にどう使うかですが、kindleでダウンロードした本をパソコン、タブレット、スマートフォンと多様な端末で読めるということは、読むチャンスが確実に増えることになります。英語学習に最も影響を与える要因は、英語に触れる時間を増やすことですから、電車の中ではiPhoneで読み、自宅のソファではタブレットから読み、机に向かったときにはPCで読む、というふうにいつでもどこでも英語の本を読んでください。気が付いたときには、英語を読むのが怖くなくなり、楽に読み進めるようになっていることでしょう。

読む本はできるだけ易しい本から始めてください。Oxford Bookworms(有名な多読本シリーズ)のstarters でも最初は難しいぐらいですので、手に入ればOxford Reading Treeを何冊か読んでからレベルを上げるのがよいでしょう。難しい本を辞書を引き引き読むのではなく、易しい本を楽しみながら読むのが長続きと上達の秘訣です。

最後に、洋書は結構な値段がするので買えない、という人におすすめなのが無料本です。キャンペーンのために無料で特別に配信しているものもありますが、洋書の場合は多くは著作権が切れた名作です。「クリスマスキャロル」や「トムソーヤーの冒険」などの日本でもよく読まれている本がありますので、探してみるといいでしょう。ただし、これらの本は原書ですので、初学者向けのわかりやすい表現を使っていることはありません。まずは学習者用の多読シリーズとして前述のOxford BookwormsやPenguin Readers, Foundations Reading Libraryなどで慣れてから、これらの無料本に挑戦するといいと思います。

それでも無料本をまず試してみたいという人には、amazonストアにある“Big Fish” (Ahmad Amani)という絵本はどうでしょうか。絵本といっても子供向けではなく、シンプルな絵とストーリーの大人向けの本です。他にも探せば、無料の多読本や絵本が見つかるでしょう。これらのさまざまなリソースを生かして、ぜひ英語本の世界に羽ばたいてください。

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