芸術学部 基礎教育

2013年度リレー連載 第12回:英語学習入門〜「使える英語」へのアプローチ

基礎教育助教の橘野実子です。
「英語基礎」「上級英語」などの芸術学部の英語科目を担当しています。今回は、英語の学習についてお話しします。

皆さんは英語ができるようになりたい、外国語に堪能になりたいという気持ちを一度は持ったことがあるのではないでしょうか。英語が苦手だという人は数限りなくいます。でも同じ人に英語ができるようになりたいかと質問すると、ほとんどの人は「はい」と答えるのです。英語に興味があり上達したいと願い、中学高校あわせて少なくとも6年間は勉強しながらも、結局は苦手意識を持ってしまったり習得をあきらめてしまう人が多いとは、なんと残念なことでしょう。

私が英語学習について常々思っているのは、「英語ができる」ということをきちんと定義しないで、漠然と「自分は英語ができない」と思っている人が多いということです。あなたにとって「英語ができる」とは何を指しますか?海外旅行で道を尋ねることができるレベルでしょうか。日常会話を外国の人と楽しむことですか。映画を字幕なしに楽しむことですか。(映画には実際、子供向けのアニメ映画もあれば難解な法律用語が多用される法廷物もあります。)または、英語圏の大学で授業を受けることが「できる」基準でしょうか。もしくは、英文クラークなどの英語を使った仕事に就くことでしょうか。このように日頃何気なく口にする「英語ができる」という表現が意味する内容は非常にあいまいです。「英語ができる」と言われるレベルにもいろいろな段階があるのです。

ここで、自分の母国語について考えてみましょう。日本語が母語の人に質問しますが、あなたは何歳ぐらいで「日本語ができる」というレベルに達したでしょうか。しゃべり始めてすぐに大人の日本語が使える人はいません。5歳の子供は日本語の基本的な規則や語彙は知っていて立派に話ができますが、話す言葉は幼い日本語ですし、まだ読み書きはあまりできません。映画も、ディズニー映画は楽しめても、一般向けの映画は無理でしょう。新聞が読めるようになり、大人の日本語がある程度使えるようになるのは小学校高学年から中学生です。

必要不可欠な母国語の習得にも10年以上かかるわけですから、外国語である英語を真面目に勉強したとしても、新聞やペーパーバックスが理解できる上級の段階にいきなり達するのは無理なことがわかります。そろそろ、「母国語並みに英語を操れるような理想の習得状態にすぐに達しない→英語は難しすぎる→学習不能だから勉強はやめよう」という1か0かの考えをやめませんか。

英語と日本語は語順や語彙がかなり違うので(これを言語的な距離があると言います)、日本人が英語を身に着けるにはヨーロッパの人よりは一般的に時間がかかりますが、しっかりした目標があり学習法が間違っていなければ、確実に上達します。最初の目標は簡単な英語の絵本を読むことかもしれませんが、それはそう時間がかからずに達成できます。そして次第に目標を高くしていけば、英語をかなり自由に使えるところまで行くことができます。そしてうれしいことに、第2、第3の言葉を勉強する場合は、母国語の知識や背景知識を活用することができます。もうあなたは世の中の仕組みがよくわかっているし、理解力も大人のそれですから、大人の認知能力の上に新しい言葉を築くというアドバンテージがあるわけです。ただし、やはり若いほうが覚えはいいですし、発音などは特に早く始めたほうがよいと言われているので、大学生から20代の頃は英語を本気で勉強するのにちょうどよい時期です。

できないことばかりに目を向けるのはやめましょう。人の能力にはそれぞれ個性がありますから、発音が得意で文法が苦手な人もいれば、読解には強くても聞き取りがなかなかできない人もいます。まずは強い分野の能力を伸ばすのがモチベーションを落とさずに効率的に学習するコツです。そのため、人によって最適な学習方法は違うわけですが、共通して言えることが一つあります。キーワードは「大量のインプット」です。たくさん読んでたくさん聞くということです。日本のこれまでの一般的な英語教育ではインプットが圧倒的に不足していますから、英語ができないと思い込むのは実は無理もないのです。文法はかなり理解しているけれど英語力が伸びない人、単語は知っているけれど英文が読めないと言う人はわかりやすい本をたくさん読んでみてください。1年も続ければ相当に英語に自信がつくはずです。文法力も語彙力もない、という人もやはりたくさん読んでたくさん聞くことを心がけてみてください。どんな人にも効果があります。さらに言えば、大量のインプットだけでなく、適度なアウトプットも必要です。書くことや話すことを実際にしなければ英語を使えるようになりません。

インプットについてはよい教材が今は数多く出版されており、基礎教育の英語科でも多読用図書を集めています。また、アウトプットを行う場としても授業は最適です。ぜひ英語科目を履修して積極的に学習に取り組みましょう。さらに個別の効果的な学習法についても英語の教員にどうぞ相談してください。Good Luck!

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