9/2(土)に専修大学生田キャンパスにて、日本デジタルゲーム学会(DiGRA-Japan)の2017年夏季研究発表大会が開催され、ゲーム学科から5件の研究を発表しました。
原寛徳先生は、昨年度の卒業生の卒展作品を題材にした『プレイヤーの気合を意識したコントローラの制作』を口頭発表しました。
このコントローラは加速度センサーを利用して、操作した際の手の動きを「気合」として入力に反映させるものです。
親指部分にアナログスティックがあり、グリップガードの部分に加速度センサーと信号を処理するマイコン、そしてゲーム本体と通信するための無線モジュールが組み込まれています。
この研究はインタラクティブセッションにてデモ展示も行われ、情報メディア系大学の方々に、工芸大のゲーム学科ならではのゲーム専用ハードウェアの制作事例を紹介できました。プレイヤーの感覚については定量化が難しく、効果測定と検定が困難なのですが、実際に体験してもらうことで効果を理解してもらうことができました。
4年生の金野誠君は『ゲームにおいて「戦略性」を感じる要素に関する研究』をポスター発表しました。
これは囲碁や将棋など戦略性が高いとされる完全情報ゲームが、コンピュータの性能向上によって全ての手筋が解析されてしまった場合、戦略性が失われる可能性の着目したものです。プレイヤーが「戦略性が高い」と感じるゲームに対する意見を分析し、ゲームに戦略性も持たせる時の要素となる「最適化」「選択の余地」という2つを導きました。
4年生の今史明君は『プレイヤーがゲームキャラクターを不快と感じる要素に関する研究』をポスター発表しました。
これは実際の人間とゲームのNPCでは不快に思う部分が異なるという点n注目し、ゲームキャラクターの不快要素を調査によって明らかにしたものです。結果の分析より「理不尽」「作者のエゴ」「醜さ」「自分勝手」という4つの要素が抽出されました。これを利用することにより、不快に思われないNPCを設定したり、逆に演出としてプレイヤーに不快と思わせるキャラクター設定が可能です。
また、NPCでは不快と思われる「醜さ」「自分勝手」という要素は、オンラインRPGのプレイヤーアバターにおいては、個性を付けるためにわざと利用され、それが他のプレイヤーにとっては不快と直接繋がらないことが分かりました。
4年生の貴俵啓介君の研究『ゲームアーケードの魅力となる要素に関する研究』は、本人が体調不良のため代理で3年生の岡庭諒平君がポスター発表しました。
これは1984年の風営法改正により、ゲームアーケードへの未成年者の18時以降の入場が規制され、それがゲームセンターから風営法の適用を除外されているショッピングセンターのゲームコーナーに子供プレイヤーを移動させ、結果としてゲームセンターが衰退したことに注目しました。この規制は2016年の風営法改正によって緩和されましたが、これをキッカケに再び子供プレイヤーがゲームセンターに戻るかどうかは分かりません。
そこでゲームセンターの魅力となる要素を調査し、アーケードの集客に繋がる要素を分析しました。結果として「特別な空間」「アーケードならではの体験」「100円」「人と騒げる場所」「出会いの場」の要素が得られました。
4年生の高橋尚人君は『ゲームプレイの魅力となる効果的な要素に関する研究』をポスター発表しました。
これはゲームがパッケージ販売から運営型ビジネスに変化し、プレイを継続してもらうことが売り上げに繋がるが、ゲーム依存は社会的にも問題になっていることに注目しました。ゲーム依存に関する先行研究と、オンラインゲームの用意された仕組みなどから選択肢を用意して調査を行い、ゲームの継続プレイに繋がる要素の重要度を分析しました。