I2、Br2といった2原子分子の原子間相互作用はモースポテンシャルで表すことがあります。最近ではこれを拡張したMorse/Long-range potentialというのも報告されております。研究で使用しているdPotFitは2原子分子の吸収線の波長など実測値から直接Morse/Long-range potential関数を計算することができます。Morse/Long-range potentialは指数関数を内包する複雑な関数なので、計算するにはポテンシャルの係数を設定し、さらに指数関数にある多項式のパラメータを非線形最適化法にて最適値を求めます。そうです、最初に設定するポテンシャルの係数の”組み合わせが多い”と計算量が膨大になるのです。
ということで、まさかお金がかかるスーパーコンピュータを使うわけにはいかないので、PCを連結して分散コンピューティングの環境をFreeBSD-12.1にて構築しました。 計算用としてIntel core-i9を搭載したマシンをを3台用意し、ネットワークファイルシステム(NFS)に演算結果を記録するように構成しました。計算用マシンにはTorqueと呼ばれるバッチシステムを導入し、1000を超えるポテンシャルモデルを順次自動で計算できるようにしました。16✕3台なので48プロセス同時計算できます。こんなシステムを購入するととてもお高い金額になってしまうのですが、スクラップを利用しつつ部品を買ってきてマシンを組み上げるところから作っておりますので意外にお安くできます。