6月9日にに行われた授業、「領域研究」。今回のゲスト講師には、4thFILM代表取締役で映像ディレクターやプロデューサーとして活躍されている、曽根隼人さんが来て下さいました。授業は早速、曽根さんがプロデューサーを務めるEテレの「テクネ 映像の教室」や「びじゅチューン!」の上映から始まりました。アイディア豊かな数々の映像は、どれもワクワクする楽しいものばかりです。
続いて曽根さんは、ご自身の学生時代の3つの大きな失敗についてお話しされました。卒業して社会に出て、やがてフリーランスとして独立したものの最初のうちは全く仕事が無く、昼も夜もアルバイトで稼がなくてはならない時期があったのだそうです。
やがてそんな曽根さんに、大きな転機が訪れます。それまでは人と接するのが苦手で、人見知りで大勢の人の前で話すことなど全くの苦手だった曽根さんですが、あるCMディレクターが打合せの時に言った一言が胸に刺さり、自分を変えなくてはいけないと気付いたのだそうです。
デジタル映像機器の急速な発展も後押しして、一人でも映像作品を作ることが可能な時代になって来ました。デジタルカメラを購入した曽根さんは、それからどんどん映像を作り、積極的に人と接して自分を売り込む努力を続けました。
映像が見られるメディアも、急速に変化してきています。スクリーンやテレビ画面ばかりで無く、パソコンやタレット、スマートフォンの画面など、新たな映像コンテンツが求められる舞台は確実に増えています。そこで仕事をしていくために必要なことは、まず「映像を作る」こと、そして積極的に人と接していく「コミュ力」であると曽根さんは仰います。
そして最後に見せて下さったのが、左の写真にある「ゴールデンサークル」。一番小さな内側の円には「why」、次の中くらいの円には「how」、そして一番大きな外側の円には「what」と書かれています。曽根さんはコーラのCMを例に挙げて、映像はこの「why」に迫らなければ人の心に届かないというお話をされます。「what」の部分で、「これは〇〇コーラです」というだけでは何も感じません。「how」に対して、「この〇〇コーラはとても美味しいです」というのでも、まだ弱い。肝心なのは「why」で、「なぜ〇〇コーラが良いのか」「なぜ〇〇コーラであるべきなのか」と迫っていけば、そこで初めて見る人の心を動かすことが出来るというのです。
この3つの重なった円の図は、人間の脳の構造と同じなのだそうです。人は脳の中心部にある脳幹で「why」を考えるのだそうで、そこで感動も生まれるのだそうです。
かつては人前で話すのが苦手だったなどとはとても信じられない、曽根さんのとても楽しい授業でした。終了後も、何人かの学生が曽根さんの前に次々に質問に押しかけていました。曽根さんと、同じ4thFILMの濱田洋輔さんは一人ひとりに丁寧に対応して下さいました。お忙しい中、本当にありがとうございました。