4月3日に入学式が行われます。
新生活に向けて緊張したり、ワクワクしたり、初めての一人暮らしを始めたり、感情の上下動が激しくなる時期です。そこで、不安を抱える新入生に伝えたい事を記します。
1年生の中にはポートフォリオ、面接、デッサン、小論文、学力など色々な受験方法で入学してきた学生がいます。Blenderやクリップスタジオを駆使してアニメーションを作りイラストを描いてきた学生もいれば、パソコンを使った事がなく、デッサンのために鉛筆を削った経験のない学生もいます。
アニメーターを目指す学生もいれば研究者を目指す学生もいます。
だから全員の美術に対する実力に差はあり、唯一の共通点は「アニメーションを勉強したい」という事だけです。
制作の授業の講評では他の学生の前で自分の作品が流れるために、作品の出来を周囲と比較して落ち込んだり、逆に周りがみんな下手に見えたりします。その時に絶対に忘れないでほしいのは、大学は一人一人が自分自身の研究を目的として入学するところだという事です。誰かと作品レベルを細かく比べて一喜一憂するのではなく、課題を自分が理解出来ていないと思えば教員に相談する事。出来たと思えばその応用や発展系を自ら進んで行う事。
初心者は一歩ずつゆっくり進めば良く、上級者は自分は周りより上手いと思ったら成長が鈍化します。
今は新入生の多くが「アニメーターになりたい」「監督になりたい」と思っているでしょう。しかしアニメーションを作る仕事はその2つ以外にも沢山あります。
自分が何に向くのかを4年間かけて調べていく事を大切にしてください。
大学は高校までと違って、全員が同じ科目のテストで100点を目指すのではありません。絵が苦手だと感じている人は「何で出来ないんだ!」と先生に怒られる心配をしているかもしれません。でも、出来るようになるために学びにきているので、出来ないからといって怒る事はありません。指導されるとすれば「ここを直そう」といった修正の話が主です。だから絵を描きたいけれども絵が苦手だという学生ほど手元を隠さずに積極的に質問してほしいです。一方で、制作に慣れていて絵も上手い学生が基礎課題を課題に沿わずに我流や独自解釈で提出してきた時は、上手くても注意されます。それは求められている課題の意図を理解出来ていないからであり、絵が下手だけれど一生懸命課題をやった学生よりも評価されないのです。
こういった事をゆっくり理解しながら1、2年生を過ごし、3年生以降のゼミで自分の方向性を定めていってほしいです。まずは焦らない事です。
そして友達を作る事も慌てない事。パッと仲間を作れる人もいる一方で、話しかけるのが苦手な人もいます。授業の中でグループで行ったり、隣の席の人と接する機会はあります。互いを知るまで仲良くなる事は簡単ではありません。そして友達とは「今日から友達」というよりも、気づいたらよく話していたりして友達になるものです。
だからいきなり孤独を感じすぎる必要はありません。
また、話しにくいとは思いますが、先生に声を掛けても構いません。大学の先生と聞くと権威的に感じたり立派に思うかもしれませんが、ここにいる教員は基本的にクリエイターや文章を書く人達です。みなさんと同じように学生時代に創作を行い、悩み、そして今がある人たちが多いです。だから、ちょっとだけ勇気を出してみてくれると嬉しいです。
いきなり頑張りすぎると疲れます。不安を感じている人は入学式の前に深呼吸。ガイダンスの前に深呼吸。少しだけ余裕を持って家を出て、気持ちを落ち着かせながら登校してみましょう。 *写真は去年の授業ガイダンスです。