アニメーション学科

「演出Ⅱ」課外授業

八ツ山橋を渡った先の案内板。ここから旧東海道へ。

3年生向けの演習科目「演出Ⅱ」では、先日「幕末太陽傳」(昭和32年、川島雄三監督)を上映、鑑賞しました。今回のテーマは「考証」です。文久2年の東海道品川宿に実在した「相模屋」(通称『土蔵相模』)を舞台にした「幕末太陽傳」は日本喜劇映画史に残る傑作ですが、この映画の中でどれ程緻密な考証が行われていたのかを知るため、実際に現在の品川宿に行ってみようということで、6月1日の土曜日、品川宿巡り課外ハイキング・ツアーを行いました。まずは品川駅に集合。文久2年には、今品川駅があるところは海でした。頭の中で文久2年にタイムスリップすると、溺れてしまうので急いで陸に上がります。ゴジラが最初にぶち壊した建造物としても有名な八ツ山橋を渡り、東海道品川宿に入ります。因みに文久2年の10年後には日本で最初の鉄道が開通します。その時線路を通すために八ツ山を削リ、そして運び出した土砂で遠浅の海を埋め立てて品川駅を建てました。だから八ツ山橋は、日本で最初の立体交差なのです。

土蔵相模跡は現在マンションで、1階はファミマ。

京成線の踏切を渡って程なく、かつて土蔵相模があった場所に到着。そこは現在マンションで、1階はファミリーマート北品川店です。「ここが土蔵相模跡です!」というと、あまりのイメージの違いに学生たちは皆「え!」と一瞬驚きます。映画に登場する、高杉晋作らによる英国公使館焼き討ちも、更に彼らが土蔵相模に集っていたことも史実です。熱中症予防も兼ねて、土蔵相模土産に冷たい飲料を購入しました。お昼ご飯を食べていなかった学生は、腹ごしらえも。「お〜い、台のもの、取っておくれ!」(土蔵相模のような飯売旅籠は客用の厨房を供えず、客に供する料理は「台屋」と呼ばれる仕出し屋から配達されていました。「台のもの」とは、そうして供されたお料理のことです。)
更に街道を下り途中ちょっと脇に外れていくと、そこには映画のラストシーンで、佐平治が杢兵衛大盡に無理矢理連れて来られる、お墓のシーンに登場する海蔵寺があります。江戸時代ここはいわゆる「投込寺(なげこみでら)」といわれ、鈴ヶ森の刑場で処刑された囚人や無縁仏が弔われました。

千体荒神を祀る、品川の海雲寺。

歩行新宿(かちしんじゅく)から北品川宿、そして南品川宿と、たった一つの宿場町なのにかなりの距離がありますが、とにかくひたすら歩きます。往時はそこに沢山の店がビッシリと軒を連ねていた訳です。ようやく通り抜け、青物横丁駅に近付いたところに、「千躰荒神」を祀る海雲寺があります。荒神様は台所で一番大切な火と水を守る神様で、映画の中には土蔵相模の女将の「火を粗末にするんじゃないよ。荒神様の罰が当たるよ。」という台詞も出てきます。この荒神さまのお祭りのシーンも登場しますが、護摩堂(本堂)は現在も、62年前の撮影当時そのままの姿で残っています。iPadで本堂前のシーンを流しながら見比べると、地べたに近い位低い位置から撮っていたことが分かります。ここからこのアングルで撮ったのかと、学生たちも自前のスマホでぱちり。ここでは平蔵地蔵の由来も学びました。

品川歴史館にある、土蔵相模の精密模型。

そして最終目的地の、品川区立品川歴史館に辿り着きました。ここには大森古墳に始まり、原始・古代から現代にいたるまでの品川の歴史を学べる様々な展示があるのですが、中でも江戸時代、東海道第一の宿場町として栄えた品川宿に関する展示が充実しています。特に目的だったのは、二階の展示室にある「土蔵相模」そのものの精巧なミニチュアです。映画で使われたのは勿論セットですが、それも緻密な考証を元に、文久2年当時の土蔵相模を実に丁寧に再現したものでした。このミニチュアもそっくり同じ構造なので、ミニチュア模型のそこかしこから、映画の登場人物たちが今にも出てきそうな錯覚に陥ります。それに加えて相模屋の、街道側の入口から入って階段を下りると海側の一階に出るという、表から見ると二階建て、裏から見ると三階建てという、傾斜地に建てられた特殊な立体構造がとても良く分かります。この点は、同じように傾斜地に立っている中野キャンパスの作りにもよく似ていて、親近感を覚えます。

品川歴史館庭園内にある茶室、松滴庵。

またこの二階の展示室には、開業した当時の品川駅(日本の鉄道開業は新橋・横浜間ではなく、仮開業の品川・横浜間の方が早い)のミニチュアもあります。さっき学生たちと品川駅に集合し、そこから歩いて渡ってきた八ツ山橋までが、明治5年当時の姿で再現されているのですが、これは映画の中で佐平治がおひさに言った台詞「十年もすれば世の中もすっかり変わるぜ」の通り、「幕末太陽傳」の舞台であった文久2年から数えて、丁度10年後の光景なのです。
品川歴史館には美しい庭園があり、その一角に松滴庵という茶室があります。昭和初期に建てられたこの建物は、かつては定期的に一般公開されていたようですが、老朽化が進んだ現在は保全のため、中に入ることは出来ません。外からだけその佇まいを見物させてもらい、今日の見学は終了。この後大井町駅まで、歩いて戻って解散となりました。全行程約4時間を、ほぼ歩きっぱなしのツアーでしたが、全員無事歩き通しました。さて今日一日で、どんなことが記憶に残ったでしょうか。みんな、お疲れ様でした。

NHK高校講座 「社会と情報」に工芸大アニメーション学科が紹介されます。

松室政哉さんのライブがMUSIC ON! TV(エムオン!)で放映。3年生が映像演出を手掛けています

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