アニメーション学科

領域研究:杉井ギサブロー監督

Gisaburo Sugii4月29日は祝日ですが、今年は通常授業が行われ、この日の「領域研究」のゲスト講師には、杉井ギサブロー監督が来て下さいました。「銀河鉄道の夜」や「グスコーブドリの伝記」など、宮澤賢治原作による作品のイメージが強い杉井監督ですが、この日取り上げた作品は、「ストリートファイターII MOVIE」(1994年公開)と「陽だまりの樹」(2000年放送)。2作品それぞれの主要な場面を鑑賞しながら、演出論を語って頂きました。「ストリートファイターII MOVIE」は、まずオープニングシーンを鑑賞。作品を作る上で、杉井監督はまず作品のコンセプトをしっかりと決めることの重要性を強調。本作はまずカプコンの大ヒットゲームの世界観やキャラクター設定があり、それらを一切崩さないことを第一に考えたと言います。そのために、このゲームのコアなファンから、各キャラクターに対するイメージを語ってもらって参考にもしたそうです。また、キャラクターはその衣装も含めてのキャラクターであるという考えから、基本的に「別の衣装に着替えない」という点にもこだわったとのこと。

Gisaburo Sugiiその中の唯一の例外シーンとして、春麗がシャワーを浴びた後バスローブを着て出てきたところを、潜んでいたバルログに襲われるシーンも鑑賞しました。まるでヒッチコック監督の「サイコ」のようなサスペンスシーンの後、突如壮絶なバトルシーンが展開され、そこに両キャラクターのゲームでの得意技の応酬が見事に活かされています。学生たちもその迫力に圧倒されたようで、映像を止めた後、思わず拍手している学生もいました。

Gisaburo Sugiiそして、次に「陽だまりの樹」です。原作は手塚治虫さん原作のマンガですが、杉井監督は尊敬を込めて「手塚先生」と話されます。その原作を手塚氏没後にアニメーション化することになった際、監督が原作からはっきりと変更したところがあります。それは、タイトルにもなっている「樹」です。原作に登場する「陽だまりの樹」は桜の古木ですが、それを監督は楠に変えています。その理由を、物語の最後に伊武谷万二郎が上野彰義隊と共に死んでいったのは、武士という存在の最期に殉じたのであり、それを太平洋戦争で国の命令によって死んでいった若者たちのイメージが重なる「桜」に託してしまうのは違うのではないかと考えたからだと説明して下さいました。

Gisaburo Sugiiこの作品で鑑賞したのは物語の冒頭、伊武谷万二郎が突如清河八郎と決闘することになるシーンです。自分より遙かに腕が立つ清河を相手に、万二郎の心の中で起きる焦りや葛藤を、監督は背後で流れる雲のスピードや空の色が突如赤になることで表現しています。清河の刀でいつ斬られてもおかしくない状況での万二郎の心境が、グイグイ迫ってくるような映像です。

監督の演出論と共に数々の名演出シーンを見せて頂き、学生たちには非常に刺激になる講義でした。授業終了後には、サインをねだる学生たちのリクエストにも応えて下さり、本当にありがとうございました。

橋本研究室<新歓BBQ>

1年生アニメーション表現基礎

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