2017年度の授業日程が終了しましたが、今年度は、伊藤剛教授による2年生対象の「マンガ基礎演習Ⅲ(前期)、Ⅳ(後期)」で、マンガ家のふみふみこさん、今井哲也さん、西島大介さんと、ライターのさやわかさんのゲスト講義が行われました。
※先生方のプロフィールを、このエントリーの末尾に掲載しています。
「マンガ基礎演習Ⅲ・Ⅳ」は、主に「コマわり」で物語の演出を行うテクニックについて具体的な演習を行う授業です。学生たちは、普段から1~4ページ程度の短いシナリオをもとにコマをわって「ネーム」を作る演習を行っています。
このゲスト講義は、西島大介さんとさわやかさんによるユニークなマンガ教育実践「ひらめき☆マンガ学校」との連携で例年行っているものです。ふみふみこさん、今井哲也さんともに、「ひらめき☆」の講師を勤められています。」
7月24日、前期授業の最終回に行われたふみふみこさんのゲスト講義の課題は、「サイレント・マンガを描く」。
「せりふを一切使わず、登場人物がほかの登場人物を好きであることを表現する」というもの。感情を言葉に頼らず表現することで、構図やコマわりが重要さを実感するとともに、情感をにじませる表現を自ら作り出す体験となりました。
後期、1月15日に行われた今井哲也さんの講義の課題は、「厚木キャンパスを舞台に、SFアクション的な場面を描く」というもの。つい描くのを避けてしまいがちな「背景」を、演出に積極的に取り込んでいこうという演習でした。学生たちが事前に舞台となる場所を選んで写真を撮るところから課題となっています。
そして後期の最終回、1月22日に西島大介さんとさやわかさんによる「ひらめき☆マンガ学校出張版」が行われました。
「ひらめき☆出張版」は今年で6回目を数えます。マンガの「描き方」ではなく、マンガ家の「なり方」を教えるユニークな授業は、お二人の軽妙なトークと笑いのなかに実にリアルな戦略を伝えるものでした。
この日は折悪しく大雪警報のため時間が短縮となりましたが、その条件を逆手にとり、「1ページのネームを描く」という課題を「15分で」一気に描き上げるというものとなりました。限られた時間内で急き立てられることで、思いがけないものが描けてしまった……という学生もいたようです。
先生方、ありがとうございました!
※「ひらめき☆マンガ教室」は、批評家・東浩紀主催のゲンロンカフェにて、2017年4月より第一期が開講されて(事前申し込み会員制)。2月17日(土)の最終回では、ゲストとして伊藤剛教授が登壇。一部はニコニコ生放送で放送されます(21時開始、無料)。詳しくはサイトをご覧ください。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv310640763
■ふみふみこさんプロフィール:
2006年講談社「Kiss」でデビュー後、2011年徳間書店「COMICリュウ」で再デビュー。代表作に『ぼくらのへんたい』『女の穴』など。現在『qtµt キューティーミューティー』(原作・さやわか)をLINE マンガにて連載のほか、『愛と呪い』(yom yom)を連載中。
■今井哲也さんプロフィール:
2005年講談社「アフタヌーン」四季賞を受賞しデビュー。同誌にて『ハックス!』『ぼくらのよあけ』連載の後、2012
年より「COMICリュウ」にて『アリスと蔵六』を連載中。同作は2017年TVアニメ化。第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞。
■西島大介さんプロフィール:
映像、ゲーム制作、ライター、イラストレーターなどの活動を続けるなか、2004年描き下ろしマンガ単行本『凹村戦争』(早川書店)を刊行。代表作に『ディエンビエンフー』『アトモスフィア』など。別名義・DJまほうつかいにてエレクトロニカの楽曲制作等でも活動。2009年よりさやわかと共に「ひらめき☆マンガ学校」開始。
■さやわかさんプロフィール:
ライター、評論家、マンガ原作者。「ユリイカ」「クイックジャパン」等に執筆。『キャラの思考法』『僕たちのゲーム史』『僕たちのインターネット史』『一〇年代文化論』など著書多数。