基礎教育の牟田淳です。夏休みになり、しかし相変わらず新型コロナの影響が結構長く続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?僕は例年ですと夏休みは研究教育のために遠くの色々な所に行くのですが、今年は新型コロナのためにそれもできません。そこで今年は東京で何ができるかを調べてみました。すると、東京都文京区にある東洋文庫ミュージアムで「大宇宙展―星と人の歴史」というかっこいい名前の企画展が開催されているのを発見しました。
行ってみるとミュージアムの外からしてすごいおしゃれな空間でした。食事もおいしく、施設内のレストランからミュージアムに行く通路もとてもおしゃれです。
さて、中に入ってみるとやっぱりおしゃれです。すごい本棚ですね。家にこんな素敵な本棚があったら一日中勉強したくなりますね。
大宇宙展では世界の様々な地域の天文学の歴史はもちろん、世界のいくつかの地域で、この世界の始まりや宇宙の様子をどのようにとらえていたかが紹介されていました。写真は古代インドのリグ・ヴェーダで、説明によれば『「無」も「有」もないところから始まる宇宙の起源、天と地に二分されるとする宇宙の構造について記しています』とあり、昔の古代インドの人々の宇宙観の一つを垣間見ることが出来てとても有意義でした。他にも中国古代の宇宙観の説明も展示されていました。
僕の工芸大の授業では、科学の世界の宇宙創成を学び、それとともに神話の世界の宇宙創成物語として旧約聖書、日本書紀などの創世記の部分を簡単に紹介しました。しかしながらこうやって写真のように世界の各地の人々の宇宙の始まりに対する思いを書物の形で見ると、さらに感慨深いものがあります。皆さんもぜひここに足を運んでみて、昔の人々の思いを実際の書物の形で触れてみると面白いかもしれません。
写真は工芸大の牟田担当授業「アートと物理」でも紹介した藤原定家の「明月記」です。明月記には授業で説明した通り、1054年に現れた「客星」(超新星)についての記録があります。この客星(超新星)の記録はイギリスの天文雑誌に紹介されて注目され、その結果この超新星の爆発の残骸は現在、かに星雲として見えている事が明らかになりました。明月記の記録が約千年の時を経て、天文学の研究に大きな貢献をしたのです。
他にも中国の石碑天文図等、見ているだけで面白い歴史的資料が沢山ありました。作品作りにもいろいろヒントになると思いますので、興味ある方はぜひこの企画展に行ってみましょう。
ちなみにこの企画展は現在発売されている「ぐるっとパス2020」を利用していきました。このパスは2200円で主に東京(一部神奈川等)99か所のミュージアムに入場・もしくは割引で入場できます。夏休みはいろんなミュージアムに行って昔の人々の色々な思いに触れてみるのもとても有意義なのではないかと思います。