美術大学の学生にとって卒業のための一番大きな関門は卒業制作です。(研究系は論文)。
一足先に卒業制作展を行っている大学がある中、本学科は週明けて25、26日が提出日となります。
今日も遅い時間まで学内に灯はともり、必死に仕上げ作業に勤しむ姿が見受けられました。
アニメーション学科には今まさに頑張っている学生同様、かつて大学生として卒業制作を経験した教員が
何名もいます。思い返すと、「なんであんなに頑張れたんだろう」と思います。絶える事なく気力が湧き出ていた不思議な時間を思い出します。しかし時間目一杯まで作っても、やはり思い描いていた通りに出来なかった悔しい気持ちは何年経とうと忘れる事は出来ません。必死でやってもなかなか難しいのが卒制です。
今この時間、自宅のPCを前に作業をしている学生がいるでしょう。眠い目を擦り、睡魔と戦いつつ、より良い形にすることに全力を傾けている。
一方、だいたい出来た事で「もうこれ以上はいいや。」と思っている学生もいるでしょう。まだまだ絵を増やせる、動きを直せる、音楽を良く出来る。しかし「もう終わった」とネット三昧になっていたりする。
提出時間が厳格な卒業制作は、確かに期限に間に合わせる事が必須です。でも、これが大学で作る最後なんです。教員もその学生の「学生作品」を見る最後の機会なんです。出来る出来ないではなく、作るんです。作りきらないと卒業出来ても後に空虚な思い出になってしまいます。中途半端は極めてもったいない。
1年生から今日までの様々な事を思い出します。 彼らは中野キャンパスに来た最初の3年生です。バーベキューコーナーを初めて使ったのも彼らです。それぞれのゼミでも色々な事がありました。感傷的な話ですが、毎年卒業生を輩出しているとは言え、その年によって学生は全員違います。「よく頑張った」と言って卒業制作の指導を終えたいと思う気持ちは教員全員にあると思います。そして学生にも悔いなくしっかりと大学生活のまとめを行ってほしいと願います。1年間の課題なので就活があったり途中でバテたり、なかなかスイッチが入るのに時間がかかる学生もいます。ようやく冬になりエンジンがかかる事も少なくありません。残り時間は少ないですが、ここで成長出来る事はとても多いはず。
自分のために本気になる事を体験する機会は、それほど多くないと思います。そしてうざったいかもしれませんが、しつこいくらいに作品に目をかけてもらえる事も多くはありません。
もし、まだ出来るのにやめている学生がいたら、重い腰を上げた方がいい。
そして晴れやかにやりきった顔で提出してくれる事を強く願います。
がんばれ!