「アニメーション学科の授業では絵を描きます」
これはアニメーション学科だからではなく、美術大学に入学したら当たり前のように行うことです。
入学前にどれくらいの絵の練習が必要かを尋ねられることがあります。
回答を一言で言うと『たくさん(出来れば毎日)描いてください。』
その理由を記します。
保護者の方と一緒に確認してください。
どれくらい描けばいいかという質問のほかに「まだ絵の勉強をしたことはありません。でも、将来はアニメーターになりたい」という希望をもつ方も毎年います。
しかし、入学してから絵の勉強をするというのはとても大変です。先行して勉強している学生に後から追いつくことは不可能ではありませんが、かなりの努力は必要です。
普段目にしているアニメーションの絵はとても上手いと思います。
ですから美術大学への進学を考えていても絵の勉強に取り掛かっていない受験生の方は、すぐにスケッチブックを買いましょう。そして毎日、30分でもいいので身の回りの物を描き、1冊と言わず、何冊も描き潰してください。好きな「アニメーションキャラクターの模写」は趣味を伸ばすことに繋がりますが、大学の授業の役には立ちません。全く異なる勉強が待っています。
大学の授業では好きではないものも描くでしょうし、思い通りに描くために単純な形を何度も描いて練習をするでしょう。ですから、全くの白紙から始めた結果、もしも「これは自分には合わなかった」となってしまうと、そこから学科の中で出来る自分の道を模索していくことになります。
さらに、学校に入学しても描き方を習うわけではありません。専門学校と違い、線のトレスも習いません。どこで中割りをすればいいかも習いません。だから必ずアニメーションが上手く作れるとは限りません。それでも上手くなっていく学生は、毎日自分で考えて、指導の中で模索しながら反復練習を積み重ねて画力を身につけ、創作力を高めていきます。
特に将来、アニメーターを目指すなら、すでに絵はたくさん描いていてほしいと願いますし、自分自身のためにもそうしてください。希望を叶えるためのハードルは決して低くありません。
大学は研究機関です。自身の研究を伸ばしていく場所ですから、何をすればいいか全くわからないままではいけません。
近年では中学生や高校1、2年生でも自分でアニメーションを作り、インターネットで発表するような時代です。無料のアプリもあり、試し程度であれば機材もお金もかからなくなってきました。ですから「やってみたい」ではなく「やってみた」が美術大学進学を考える最低限のスタート位置だと思います。
自分の目標をしっかり持って、頑張ってください。