入試相談であった質問で大事な部分を記します。
Q.絵が苦手です。授業についていけますか?
A.入学時には絵を専門的に学校で学んできた学生とそうでない学生が混在します。ですから学科では初歩的な授業から行います。描ける学生にとっては基本のおさらいですが、そうではない学生には若干大変かもしれません。しかし将来絵を描いていきたいのであれば頑張ってついてきてほしいです。そのためにも今からでもクロッキーやスケッチ、デッサンなどをスケッチブックを買って続けてください。(アニメキャラクターの模写や2次創作ではなく、静物や人物、風景など)
ただし絵が苦手でもパソコンが得意、コマ撮りが上手いなど、自分の得意分野を見つけることが出来るかもしれません。その気付きに大切なことは「アニメーションを狭い視野で見ない」ことです。テレビや映画で見られる主に漫画原作のアニメーション以外の様々な表現に興味を持つことです。
Q.将来アニメーターになりたいのですが、絵を描いた経験がないので学力入試を受けたいです。
A.学力入試で入学出来ますので、入学してから絵を頑張る事は構いません。ただし、絵を避ける目的であればお勧めしません。アニメーターは日々相当数の絵を描き続ける仕事です。まず入試を考える前に、例えば1週間毎日10枚、1時間から1時間半くらいスケッチブックに静物や手などのクロッキーをしてみてください。それをやって「楽しい」「続けたい」という気持ちがあれば良いですが、もし辛いという事であれば進路自体を一度ゆっくり考えてみてください。アニメーターは相当の画力と絵が好きな気持ちや持続性が求められるとても厳しい仕事です。
*「勉強は苦手ですが絵は好きです」という言葉を聞く事があります。しかし美術大学では絵を描いたり創作をすることが勉強になります。自分の趣味として好きに描いたり作ったりするのとは異なります。
ですから創作が勉強の息抜きになっている場合、もしかすると入学後に創作が苦しくて他の事に関心がいってしまう可能性もあります。勉強として絵を描いたり創作をするのだという意識を持って臨んでください。オリジナルを求められる環境で思うように描けず、理解出来ず、パソコンの操作もおぼつかず、進路を変えていく学生も少なくありません。
また、『アニメーションを見るのが好き』と『作るのが好き』は全く性質が異なります。教わっただけでは上手くなりきらないので自主鍛錬も必要です。まずは進路を決める前に自分はアニメーションを勉強し、将来それに関する仕事に就いたり、それを生きる糧にしたいのか?を自問しましょう。
Q.専門学校との違いについて
A.専門学校は仕事に就くための技術を主に学ぶ場所です。大学は自分自身の創作活動のための知識や技術を学び研究する場所です。4年間かけて学ぶ方が仕事の技術が身につくと考える方もいますが、実際仕事の技術(例えばアニメーターの線トレス)を学ぶ場所ではありません。だからすでに目標とするアニメーションがあってその作品に携わりたいとか、早く仕事に就きたいという場合は専門学校は良い選択肢だと思います。業界の知識、技術を学びたいと考える方には、もしかすると大学は向かないかもしれません。
ただし大学で勉強したら『アーティスト』になるのかというとそういう事ではありません。業界的な技術は薄くともアニメーション制作の土台は出来ているので制作会社などに就職する学生は多いです。
*仕事の知識は職場によって異なるので、結果的にそれは入社先で学ぶ事になります。
Q.キャラクターデザインの授業、シナリオの授業はありますか?
A.それらを専門的に学ぶ授業はありません。ただしアニメーション制作を行う授業があるので、そこで自分でキャラクターを考えたり、シナリオを作ったりする事はあります。
ただし、それらを専門的に学びたいという場合は、別の進路先をお勧めします。
Q.サウンドスタジオで効果音制作、音響効果を学びたいです
A.サウンドスタジオはありますが音響効果などを学ぶ時間はかなり限られていますので、理想の学習とは異なる可能性が高いです。音楽や音効の勉強をしたい場合はそれに特化した学校への進学が良いです。
Q.グループや集団制作など複数人で行う課題はありますか?
A.あります。1年生の必修科目では班で行動する機会が何度かあります。また2年生になるとグループでアニメーションを作る授業があります(制作系を希望する場合はほぼ全員履修します)。
自分のペースで勉強を進めたい、グループが苦手という人もいますが、アニメーションは他人と接しながら作るものです。常にグループ行動が求められるわけではありませんから頑張ってもらえればと思います。
Q.リモートで授業を受けられますか?
A.受けることは出来ません。コロナ制限下ではリモート授業を行いましたが、現在は対面に戻っています。