今回の「領域研究」、特別講師は「HUNTER x HUNTER」の監督で名アニメーターの神志那弘志さんです。
神志那さんは故・芦田豊雄さんの後を継いで現在スタジオ・ライブの代表取締役を務めていらっしゃいますが、その芦田さんに憧れてアニメーターを目指したお話から始まりました。
そして、現在のアニメーション業界についての話になります。特にアニメーターを取り巻く環境は、近年様々な要素で厳しくなっています。以前に比べて短期間で多くの作業をこなさなくてはならなくなり、そのため大勢で手分けしての作業とならざるを得ません。一方で作品としての統一感をより強く求められるようにもなり、この両立が大変難しくなってきています。
しかしそれでも、アニメーションを作れるということは特殊技能です。大好きなアニメーションを作れる特殊技能を身に付け、それを仕事として生きていくことが出来るのは素晴らしいこと。神志那さんは高校の同窓会などでかつての級友たちからよく、「君は一番好きなことを仕事に出来て幸せだな」と言われるそうで、その度に「本当にその通りだ」と思うのだそうです。
右の写真にある言葉は、故・芦田豊雄さんがいつも仰っていた言葉だそうです。アニメーションが子供たちに夢を与えることで、その子供たちの中から次の時代に夢のあるアニメーションを作りたいと志す若者が出てくる。それが豊かなアニメーションの世界を受け継いでいくためにとても大切なことだ、ということです。
最後は急遽書画カメラを使っての、「手」のパーツ講座となりました。まずは手の骨格がどうなっているのかの解説から始まって、指の曲がる角度など、一つ一つ具体的に説明して下さいます。
学生たちもノートを取る一方で自分の手をしげしげと眺め、なるほど初めて気が付いたといった様子でした。
6月26日にはこの中野キャンパスで「神志那弘志のパーツ講座 腕編」も開催されます。その紹介も行われて、本日の講義は終了となりました。最後に神志那さんは、「就職先は会社名で選ぶのではなく、上手い人、この人から学び取りたいと思う人がいる職場を選びなさい」と仰いました。神志那さんにとっては、それが芦田豊雄さんだった訳ですね。
講義終了後、「HUNTER x HUNTER」の大ファンだったという学生が大勢サインを求めて神志那さんの前に並びました。神志那さんはこの後もお仕事の予定が入っているのことでしたが、全員に丁寧にキャラクターの絵入りでのサインを描いて下さいました。学生たちはとても感激していました。本当にありがとうございました。