写真学科

大学院生・研究生がお送りするパリで見つけた写真集紹介! 3冊目!

研究生の影山です。
「ARCHIVE PLAY」
出版社 KEHRER VERLAG(ドイツ)をご紹介します。

この写真集には5人の人物が関わっています。
フィンランドの写真家Niina Vatanen とHertta Kiiski 、アーカイブを調査する研究者と物語を書く著者の4人、そして今は亡きHelvi Ahonenというアマチュアカメラマンです。

Helvi Ahonenが1940〜80年代に撮影した写真を研究者が発掘しました。その量は約5000枚のネガと少数のプリントに及び、内容は彼女の家族写真や自身の成人期の写真です。それらが2人の写真家の手に渡り、視覚的な仕掛けが施され、作品として再構成されています。さらにフィクションの物語が付け加えられます。それによりHelviが撮影した写真が本人の意図とは関係なく、全く新しい物語として生まれ変わります。

アーカイブ写真を通して、もうこの世に実在しない女性の人生を探求しています。「古い写真」を見る新しい方法を見つけているのです。
撮影者のいなくなった過去の写真がいかに魅力的で不可解なものであるかを提示しています。

写真に手を加える事で、彼女が見ていた景色が色鮮やかに蘇ります。
写真家NiinaとHerttaは様々な方法でアーカイブ写真に手を加え、作品化していきます。写真への視覚的な仕掛けがある事で、写真自体があらゆる展開をみせていきます。

他者の写真には見る人はもちろん、撮った本人でさえ想像もつかないような世界や力が潜んでいます。その写真が撮られてから時間が経てば経つ程にその世界は深みを増します。写真は多くの人の解釈の中で深く広がっていくものだと思います。写真の中にある誰かの人生や雰囲気や流れていった時間の層、それらは目に見えませんが感じられるような気がします。人による解釈の違いによって新たな考えや展開を生み、広がっていく。

これらは私個人の解釈です。きっと見る人によって様々な解釈がされることでしょう。それなら、他にこの写真集を見た人は何を感じるのか。私はそんな事も気になるのです。

大学院生、研究生がお送りするパリで見つけた写真集紹介!2冊目!

明けましておめでとうございます!

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