大学院生、研究生がお送りするパリで見つけた写真集紹介!
2人目は・・・
大学院1年小林です。
『TRAUERWEIDE』はイスタンブール(トルコ)生まれのEylul Aslanという女性作家の写真集です。 Editions du LICというノルウェーの出版社から出版されています。
タイトルはドイツ語でしだれ柳という意味で、イスラム女性が身につけている肌を隠すためのベール(ヒジャブ)をイメージして付けられています。 しだれた柳の枝が幹を覆う姿は、女性を包み込むベールのようにも見えます。
さて、皆さんはイスラム女性のベール(ヒジャブ)と聞いてどういうイメージを思い浮かべるでしょうか。 私は女性が女性であることを隠すものというイメージを持っています。この写真集では、宗教や政治の中で女性が抑圧されていることや、女性の性に対する作者なりの反応を示しています。
しかし私は最初に本を開いた時、とても繊細で軽やかで、少し切ないような女性ならではの曖昧な感情を表現している作品だと感じました。 写真の順番にも遊び心が詰まっていて、そのような重いテーマを取り上げているようには見えませんでした。
作者は、ベールが女性の身体を包み隠しているように、遊び心ある構成にすることで自分の本当に訴えたいことを包んで和らげているように思えます。実際の被写体も、女性+布や髪の毛などベールの役割になるものを多く選び、個人的な情報を隠すことであえて曖昧な画面作りをしています。
男性は女性にないものを持っていて、女性より優れているところもたくさんあります。しかし女性も男性にはない優れたものをたくさん持っています。 この写真集は重く刺さるような表現はせず、優しく包みながら女性であることの喜びや悲しみを伝えてくれています。