パリ写真月間に訪問した大学院生と研究生にお勧めの写真集を紹介してもらいます!
トップバッターは・・・
写真学科研究生の柳沼です。
私はJulian Germain
「FOR EVERY MINUTE YOU ARE ANGRY YOU LOSE SIXTY SECONDS OF HAPPINESS」
MACK(ロンドン)を紹介します!
青くかわいらしい花柄の表紙が珍しく、手に取りました。
~ いつでも君を思っているよ。でも君が60歳で先に逝ってしまったことを怒っているんだ。
だけど僕は今でも幸せだよ。~私はタイトルをこのように和訳しました。
この写真集はJulian Germainが撮影したおじいさんのポートレートと
このおじいさんが撮りためた家族アルバムの複写で構成されています。
アルバムの中には奥さんが沢山写っています。どれもおじいさんの奥さんへ愛情が溢れた素敵な記念写真です。アルバムの写真の後にJulian Germainが撮影した可愛らしいおじいさんが登場します。
色鮮やかな部屋で、花や家族写真に囲まれたおじいさんの生活が綴られます。悲しいことがあっても表情は明るく、奥さんへの愛、I love you! I love you!と気持ちが伝わります。 中盤にまた、家族アルバムが続きます。ここから前半に比べて、ひとりの寂しいイメージが続きます。どんなに愛して心の中に奥さんが生きていても、この世ではもう絶対会うことは出来ないんだ。ということが強調されます。それでもおじいさんの表情は明るく、穏やかに趣味を楽しみながらの生活は続いてゆきます。
日本に帰り写真集を翻訳しました。
タイトルは「1分間怒る度に、あなたは60秒も幸せを逃している」 というアメリカのことわざでした。
私はタイトルを誤訳していました。おじいさんは奥さんの死を受け入れ前向きに今ある生活を生きていて、それを写真家が感じ、撮影をし、悲しみとは裏腹な色彩構成でおじいさんの切なさと大きな愛を表現しています。写真というものの魅力を改めて感じさせてくれます。
自分の好きな人や家族に見せたくなる素敵な作品です。